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第65話
「俺は、翔琉が……欲しい、です」
翔琉の腕へしがみつくようにギュッと両手で握り締めると、大きなその手は動きを止めた。
「翔琉を……翔琉、の……を、俺に、ください」
ゆっくりと俺はソファから立ち上がると、恥じらいを遺したまま自身の着ていたものをゆっくり下から脱いでいく。
とろとろになっていた俺の熱雄の方は、少しも恥じらうことなく真っ直ぐ天を仰いでいた。
間違いなくグレーの瞳が、翔琉の視線が、そこへ熱く注がれる。
無言で凝視していた翔琉は自身のスラックスの後ろポケットを探る仕草を見せると、そこから小さな正方形のパウチを取り出した。
「……、かけ、るっ……?」
いつの間に準備を、と思った。
慎重に翔琉は俺をソファへ横たわらせると、まだ鎮火していなかった自らの灼熱の屹立を取り出す。
いつもその獰猛さに俺はドキッとする。
さすがにもう、見慣れただろう? と翔琉に知られたら笑われてしまいそうな反応だが。
「先ほどはつい甘えたいと言ってしまったが、やはり俺は颯斗を甘やかす方が好きみたいだ。おねだりされると、何処も彼処も意志が弱くなる」
自嘲しながら翔琉はパウチの封を開け、器用に片手で先端へ引っ掛けるとそのまま根元まで下ろしていく。
「いくつになっても颯斗は魔性だな。俺の理性を酷く惑わす」
「……やぁっ、この体勢……丸、見え……」
大きく両足を掲げられ羞恥していた俺は、少しでも腹部に負担がかからないよう翔琉によって腰の下へ大きなクッションが二つ差し込まれた。
自然と潤む俺の後孔に、翔琉は熱い先端をぐりぐりと擦り付ける。
挿入りそうで挿入らないもどかしい接触に忽ち俺は甘く唸り、その先へ誘ないたくて劣情の音を立てている翔琉へ手を伸ばす。
「俺だって。翔琉を前にすると、意志が弱くなって欲しがってしまいます。だから――」
「少しでもお腹に変調があったら言うんだ」
翔琉はそう言うと、薄い膜に包まれた切っ先を俺の今はまだ狭いソコを押し拡げるようにして潜り込ませた。
一度、先端が通過すると翔琉は何処となく遠慮がちに腰を打ち突ける。
「あっ……あっ、ァあ……っ……はっ」
ニットをたくし上げると、隠していた腹部の膨らみが露わとなった。
「隠すなんて勿体ない」
独り言のように呟くと、弧を描くようにゆっくり擦る。
「一応、恥ずかしいんです。今回も……俺、桃緯さんのようにスタイル維持ができなかったから」
ふいと顔を背けると、俺は両手でクロスしながら体重維持ができなかった自身の腹部を隠そうとした。
「独りの小さな生命を育んでいるんだから、適正範囲内なんだから体型など気にする必要はない」
「でも……」
「だったら余裕を与えないよう、もう少しだけ深い処を突こう」
宣言通り、翔琉は俺の内へ挿入ったそれを僅かばかり深くさせた。
角度が少しばかり変わっただけだというのに、途端、俺は何も考えられなくなる。
後孔を揺すられ、それだけであっという間にホワイトアウトしてしまう。
くらくらする頭の片隅で、独りよがりになっていないだろうか。不安を感じていたが、少し遅れて酷く張り詰めた翔琉が慌てて俺から引き抜くと、弧を描く腹部の上へ熱い白濁のシャワーが降り注がれるのを感じた。
共に快感を共有できたことが嬉しくて、霞む意識の中で俺はそっと翔琉へ微笑んだ。
同じく目の前の翔琉も微笑み返しているような気がして、俺は安堵しながら意識を手放した。
幸せはいつもすぐ傍にあることを実感しながら――。
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