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第78話
「もう隠す必要もないから、いっそ周囲に見せつけるくらいが丁度いいだろう? というか、ずっと見せつけたかった。俺たちの仲を」
翔琉はそう言うと、子どもたちに気が付かないようにこっそり俺の手に指を絡めてくる。
ドキドキが止まらない。
恋人繋ぎをされた俺は、あっという間に心拍数が上がってしまう。
「かけ……」
その名を呼ぼうとした瞬間、翔琉は反対側の手で互いの口許をガードしながらキスをした。
翔琉の舌が俺の唇を軽くノックする。だがすぐ様、名残惜しそうに出ていく。
それから手を繋いだまま、俺に微笑む。
「これからは今まで我慢していた分まで、色んなところでイチャイチャしよう」
超イケメンの糖度高めの誘導尋問に、俺は思わず引っかかり同意しそうになる。
「イチャイチャは良いですけど、人前でのイチャイチャは恥ずかしいですから……勘弁して、下さいね?」
恋人繋ぎをしていた手を俺の方から力を込め、繋ぎ返す。
自然と上目遣いで誘ったようになってしまったのは、もちろん計算外のことだ。
「どうだろうか?」
意地悪そうに言った翔琉は、繋いだ手をまた、自身優位に繋ぎ直す。そのやり取りに俺たちはどこからともなく視線を合わせ、軽やかに笑った。
双子たちも俺たちの笑っている姿につられ、一緒に笑う。
今、俺はとても幸せです。
世界で一番大好きな翔琉が俺の夫で、その人の血と俺の血を継いだそっくりな子どもが三人いて。
これから先、愛しい人と子どもたちの成長を見届けながら、共に年を重ねることができるなんて。
翔琉? 将来、碧翔はどんな子に育つかな?
翔琉に似た颯空は、その外見を武器にやっぱりモデルの道へ進むのかな?
それとも、賢そうな子だから研究者になったりして。
琉愛は紅一点だけど、翔琉の遺伝子を持っていればきっとスゴく美人で、将来彼氏を連れて来たら俺、きっとその人に嫉妬しちゃうんだろうな。
ママ、嫌な姑みたいで感じ悪い! なんて言われてしまうのだろうか?
娘に嫌われるのは嫌だけど、でも、可愛い我が子を嫁がせる時は激しく葛藤するのだろうなぁ。
ああ、俺は完全に親バカだな。
仕方ないよな。
子どもたちは全員、愛おしくて仕方ないのだから。
時々は嫌なことがあっても良いけれど、こうやってずっと、家族全員で笑って穏やかに過ごせたら良い。
家族全員の幸せはこれからも俺が。
俺が、守るから。
だから――。
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