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第16話 王子、犬に手を噛まれる(4)(*)

 腰を揺らめかせ、やっと先端を内部へ入れようとしたところで、柔々と揉まれた伊緒の屹立が、ビクリと反応する。 「あなたも、イイ、ですか……っ?」 「触るな」 「っでも……」 「どこかに縋ってなきゃ不安なら、膝でも太腿でもいいから、急所は止せ」 「わ、わか、り……っ」  刹那、伊緒がぐい、と思い切って体重をかけたので、斑目が急に息を呑んだ。  腰をゆっくり回し、入り口付近をあますところなく擦って、敏感な先端を刺激すると、物足りなさに伊緒の中は戦慄いた。たまらなくなったのか、ついに斑目が白旗を上げる。 「ぁ、ぁっ、希、せんぱ……っ」  歯を食いしばり、呻いたかと思うと、太腿に熱が走った。引っ掻かれたのだとわかる。明日ミミズ腫れだなと思いつつ、次第にカリの部分だけを食らえるようになるのを待ち、伊緒は言った。 「なぁ」 「?」  斑目は、見るからにつらそうな顔で息を乱していた。真摯な眸に射抜かれ、鼓動が乱れる。伊緒も人のことは言えない状態だったが、まだ経験の範疇にあるだけ、余裕が少し、残っていた。 「童貞って、どこまでなんだと思う?」 「ぇ……?」 「こいつを……」  言いながら、ぬぽっと音をさせて自分の中から斑目を抜き出すと、ふるん、と伊緒の竿が震えた。まるで斑目のものを食いたがって勃起しているみたいで、隠せないことを思うと、恥ずかしくて興奮する。 「食うにしても、どれぐらいまで食ったら、童貞じゃなくなるんだろうな?」 「はっ……」  意地悪な視線で見下ろし、斑目の髪を不意に撫でる。指にクシャクシャ絡まって、わりと剛毛なのだと、これまで絶対に知ることはないと思っていた、その感覚を知る。こいつは思ったよりタフだ。だけど、そんな斑目が目の前で屈服する姿が見たくなる。 「先っぽしか入れてないし、擦り付けてるだけだから……っ」 「ふ、っ」 「……まだ、童貞、だよな?」 「っ……、希、先……っ」  斑目を後蕾に擦り付け、前後に腰をゆっくり動かす。グリグリと先端を接着させたまま、亀頭部分を刺激すると、斑目は「ふっ、ふっ……!」と食いしばった歯の間から呼吸を漏らした。 「っまだ、だよな? どこまで入れたら、童貞じゃなくなるのかな……っ」  斑目の歪んだ顔が、ギリギリ限界を訴えていた。伊緒は自分を見て憎悪に近い感情を抱くかのような斑目の表情に、心の中が満たされていくのを感じた。今、斑目は全身全霊で伊緒を感じている。この一回を、忘れられなくしてやりたいという、嗜虐心が高まる。

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