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第17話 王子、犬に手を噛まれる(5)(*)

「お前のかたいの、入るかな。入れてみて、いいか?」 「は、い……っ、早……っ、く」  懇願され、催促されるほど、意地悪な気持ちが込み上げてくる。伊緒を試そうとしたことを後悔させてやりたかった。それには、この交わりを記憶の底に刻むほど、濃くて熱くて深いものにするしかない。 「──お前の全部を食ってやる」  くちゅ、とローションと先走りにまみれた先端を再び食い込ませる。 「これ、まだ挿れたって、言わないよな?」 「ぁ……!」 「お前、まだ童貞、だよな?」 「ぅ……く、のぞ、……っ」  顔を真っ赤にして斑目が首を振る。瞼が閉じられ、見られていないことに安堵する。これなら、あさましい表情を晒していても、嫌われる確率が下がる。 「もう少し挿れたら、童貞じゃ、なくなるか? どうする? 試すか?」  こくこくと赤面して頷く斑目に、伊緒は身体を倒して触れるだけのキスをし、もう少しだけ腰を落とした。亀頭部分がゆっくりと伊緒の中へめり込んでくる。  が、先端の張り出したくびれを挿れきらないうちに、再び伊緒は動きを止めた。 「っ、まだ、先っぽが、全部入ってない、よな? これって、まだ、童貞……っ?」 「ま、だっ……」 「まだ、か……?」 「ん、んぅ……ぅ」  気がつくと、互いに汗まみれになりながら、長い挿入の過程を耐えていた。伊緒はゆるゆると腰を振っては、膝をついた身体を上下に揺らした。そのたびに、抜けそうになる寸前で止めて斑目を虐め、また内部へと少しずつ侵入させる。伊緒の先端からも、先走りが漏れはじめ、ねばつく透明な液体が斑目の腹を汚す。 「先が、入った。まだ、童貞だな? ……斑目?」 「のぞ、みの、言う、とお、り……っ」  汗を噴いて懇願する斑目に、伊緒はいつにない興奮を募らせてゆく。 「もう、ちょっと、入れて、みる、か……?」  言いながらも、伊緒の中は斑目を誘い込むように蠢きはじめていた。 「どう、だ? まだ、童貞だと、思う、か……っ?」 「ま、だ……っ」  半分ほどおさめた斑目を、ずるる、と引き出す過程が、鳥肌が立つほど気持ちがいい。先端だけを残して、また同じ場所まで埋める。ゆっくりと繰り返される抽挿に、次第に斑目だけでなく、伊緒も狂いはじめる。 「ふ、少し、ずつ、食ってやる、から……んっ、童貞じゃ、なくなったら、言え、よ?」 「の、ぞみ、さ……っ」 「半分、入った……、もう、童貞じゃ、なくなった、か……っ?」 「ま、だっ……っ、まだ、だ、から……っ」  首を振り顔を真っ赤にしてシーツをグシャグシャにして耐えている斑目を見ると、腹の底から欲望という名の熱が迫り上がってくる。伊緒の先端も上を向き、涙のように先走りを垂れ流している。中は痙攣を繰り返し、全部入れたら、それだけで軽く達してしまいそうなほど興奮していた。

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