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第18話 王子、犬に手を噛まれる(6)(*)
「は、やく……っ、のぞ……っ」
瞬間、ガリ、と音がして、また太腿を引っ掻かれた。
「俺に、命令、するな、っ」
言いながらリードをきつく引くと、斑目は涙を浮かべ、歯を食いしばって耐えた。
「もう、少しで、童貞、卒業する、んだろ? ちゃんと、味わえ……っ」
「ぅ、く……っ、ぁ、っ」
欲しい、もう欲しい、と身体が悲鳴を上げていた。互いに欲求不満のまま、爪痕だけを残し合う。不毛な意地の張り合いから、抜け出せなくなりそうだった。
「く、太……っ、長い、な、夏日……っ」
そう漏らしたら、中で斑目が一際大きくなった。
「ぁ……っ、おっきく、する、な……っ」
「のぞ、もう……」
腰が震えて、膝がガクガクして、伊緒はもう少しで崩折れそうだった。下から突き上げることだってできるのに、どうにか衝動をやり過ごそうとする斑目の姿は、健気で胸を打つものだった。
「お前の、コレ、熱い、な……。今まで、俺の、食ってきた男の、中じゃ、一番……っだから、ちゃんと、し──……っんぁぁっ!」
伊緒が言葉を零した瞬間、突如として斑目が腰を突き上げてきた。
「お前、っ、勝手に動、っぁあぁ──……っ!」
伊緒は奥まで突かれた衝撃で、白濁を零して仰け反った。その放出している性器を、容赦なく握り込まれる。血が逆流して、閃光が身体を駆け抜ける。理性を切らした斑目は、起き上がると伊緒の身体を組み敷いた。片方の膝裏に手を入れ、脚を大きく開かせると、奥の奥まで突き進むように腰を入れる。
「ぅ、ぁあぁっ! んぁっ! はぁっ!」
いい加減にしろ、と言葉にしたかったが、長く突っ張っていた脚は斑目を蹴飛ばそうにも、全く役立たずだった。腕で斑目の肉厚の胸を叩くが、全く効いている様子がない。どころか、リードを離してしまい、斑目がガツガツと腰を使ってくるのを、止めることさえできなかった。
「ぃ、ぁあっ! ぅぁんっ! ゃぁ、ゃめ……っ! ぁ、あぁぁっ!」
何が切っ掛けだったか思考することもまともにできず、伊緒は斑目のほしいままにされた。握られた性器を扱かれながら、ガブリと身体のあちこちに噛み跡を残される。どちらが主かわからない状態に置かれた伊緒が思わずグズると、斑目は耳朶を甘噛みして囁いた。
「他の男と、同じに、しないで──くださいっ! 何人、食ってきたんだか、……っ」
「知、るか……ぁっ! 勝手に、うご、動、くなぁ……っ! ゃ、ぁあぁぁっ!」
斑目の怒りのスイッチを押してしまった伊緒は、結局、空が白むまで交合を続けさせられた。
何度目の絶頂か、伊緒が記憶できなくなって泣き出した頃、やっと斑目は止まったようだった。
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