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第37話 犬、王子を暴く(2)(*)

「ぁぅ……!」  ぐじゅ、ぬちゃ、と卑猥な水音がして、斑目が伊緒を口内へと迎え入れる。その瞬間、頭に血が上って、羞恥のあまり言葉が出なくなった。腰を引こうとしても、背中は壁に押し付けられている。声を堪えようとして、リードを握った指を噛む。頬が上気し、中心を愛撫される悦さに、脳内がぐらぐらと音を立てた。 「は、ぁっ、な、……っひ」  斑目はどこで覚えてきたのか、口戯に長けていた。カリの部分を唇で嬲ったかと思うと、先端の割れ目に舌をねじ入れながら、喉奥まで咥え込み、裏筋をなぞられる。伊緒が限界を訴え、離すよう催促しても届かず、双玉を柔々と揉まれながら吸われると、あっという間に上り詰めてしまう。 「ぁぅ……っ!」  口内に放出してしまったものを、一滴残らず斑目に呑み下され、頭を上げた斑目の顔を、伊緒はもうまともに見られなかった。 「どこ、で、っんな……っ」  やっと息を整えつつある伊緒がリードを引くと、斑目は立ち上がり、伊緒の耳朶を食んだ。 「先輩にされて、教えられたことを、俺なりにアレンジしただけです」 「っ」  応用力がありすぎだ、と奥歯を噛み締め、顔を覆うと、「おいしかったです」と言われ、伊緒は自分の体液が斑目の中に取り込まれたことに、消えてしまいたくなるほどの羞恥を感じた。  立ち上がった斑目が、覆った手を退かす。退かした手を下半身に持っていき、中心に手を触れさせ、斑目もまた興奮していることを知らされると、いけない気持ちになった。 「……ガチガチ、じゃないか」 「あなたのせいです」  恥ずかしそうに斑目が笑うと、伊緒は心に火がつくのがわかった。熾火だった炎が、轟々と音を立てて燃え、恋情の萌芽が育ち、斑目へと伸びてゆく。 「希先輩は、無闇に俺を興奮させる、悪い飼い主です」 「馬鹿言うな。人のせいかよ……っわ!」  斑目がちょっと屈んだと思うと、伊緒を両腕に横抱きにして、そのまま靴を脱いで寝室へ運んでゆく。  今から斑目とするのだと思うと、身体の制御が効かなくなりそうだった。火照った頬をどうにか鎮めようと床に視線を落とし、無言でいる。斑目は伊緒を恭しくセミダブルのベッドに下ろすと、その前に跪き、伊緒の靴を脱がせた。  赤い首輪をした斑目が、伊緒に覆い被さってくる。 「本当に駄目だったら、リード引いてくださいね。俺、止まれないかもしれないんで、いざとなったら蹴飛ばしていいですから」  欲情をはいた顔を晒して言われ、伊緒は自分のボルテージが歪に上がるのを感じた。 「お前も、脱げ、夏日……っ」  伊緒のシャツのボタンをゆっくり外す斑目の手が、やけに震えている。それで斑目もまた緊張しているのだとわかった。伊緒ももどかしげに斑目のジャケットを脱がし、タイを取ると、その頃には斑目が、はだけたシャツの内側に手を滑り込ませ、伊緒の首筋に歯型を付けていた。 「興奮する……」 「がっついて、んじゃ、ねえ……っ」 「先輩だって」 「んっ……!」  全裸になった斑目が、伊緒を剥き出しにする。生まれたままの姿になったと同時に、上を向いた斑目の性器が露わになり、溜め息が出るほど美しいと思った。

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