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窓の外で、大粒の雨が紫陽花の葉を揺らしていた。相変わらず空気はじめじめとしていて、どこまでも体にまとわりついてくるようだった。 梅雨明けが近づいてきている。 予鈴が鳴り、正也は昼休みが終わる前に教室へ戻ろうと図書室を出た。 借りた本を抱えながら廊下を歩いているとき、何の気なしに横に目をやると、空き教室の戸が開いていることに気がついた。誰かいるのかと思い中を覗き込むと、仄暗い教室で寄り添うように立つ二つの人影があった。 正也は、その光景に思わず足を止めてしまった。 二つの人影の一つは女子生徒で、もう一つは男子生徒───満だった。 二人は、キスをしていた。 正也は二人から目が離せなくなった。まるで時間が止まったかのように長く感じられ、足が凍りついたように動かなくなった。 ただ、その時間は実際のところほんの一瞬だった。 満はすぐに女子生徒から離れて、小さな声で彼女に何かを告げた。それから教室の出口に足を向け、顔を俯けたまま正也のいる出口の方に歩いてきた。 「あ…」 「………」 正也は、出てきた満と目が合った。 満は一瞬何か言いたげに顔をゆがめたが、すぐにふいと顔をそらし廊下の向こうに歩いていった。

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