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第13話
沢山の人に会ったりしたら犬が帰ってきた俺に不穏になったように、男も不穏になる。
俺に触れたがり、舐めたがる。
だから。
晩飯も喰わずに、まず、した。
風呂だけは男にしがみつかれながらも入ったけど。
「しつこいんだよ・・・」
俺は泣き言を言う。
でも男は止めない。
俺の尻が揺れて欲しがってるのがわかるから。
熱い。
舌。
何で。
そんなに風に穴なんか舐められるんだよ。
その執拗なまでの舌遣い。
欲しいんだってわかる。
ここに挿れたいんだってわかる。
でもそうしないくせに、そこを舐めて味わうコイツに感じてしまう。
欲しいのに。
そうしないのか。
でも、そんなに欲しいんだ。
蕩けきった穴に分厚い舌が差し込まれた。
中で動かれて、すすり泣く。
気持ちいい。
気持ちいいし、欲しがられてるのが、たまらない。
俺が。
俺が。
そんなに欲しいのか。
可愛い。
そう思ってしまう。
オレンジ色の目を燃え上がらせている悪魔みたいな男なのに。
肌を焼くタトゥーと、その目は炎の中からきた悪魔みたいなのに。
欲しがられて、俺は喘ぎ、鳴く。
ああっ
また中だけでイッちゃう。
声を手でふさいで殺す。
男がそんな俺を見て笑った。
「可愛い」
たまに、この男は子供みたいにみえる。
お前のが可愛いと思う。
でも、子供はこんなことはしない。
舌と指で、後ろの穴を執拗に犯したりしない。
脚を肩に担がれ、尻を持ち上げられながら、尻に顔をうずめられ、そこを苛められる。
指が凝りをこすり、押し、穴の中を舌が熱く蠢く。
俺のはもうガチガチに勃起して、ずっと液を垂れ流してる。
でも、射精じゃなくて、中でイってる。
イき癖をつけられた体は射精しなくても、そこを苛められるだけでイけるのだ。
気持ちいい、
気持ちいい
シーツをつかんで、声を殺して耐える。
でも、お前は何が楽しいんだ?
俺を気持ち良くさせてるだけじゃないか。
「もう・・・出すから、一緒に出してぇ」
俺はお願いする。
いつもみたいにコイツのと一緒に擦って出したならコイツだって気持ちいい。
コイツのんだってガチガチだし、痛いくらい辛いはずだ。
一緒に気持ち良くなりたい。
「ダメだ・・・お前がもっともっと気持ち良くなってからだ」
男が唸る。
何でそんなに頑張るんだよ。
こんどは穴と一緒に乳首を弄られはじめた。
吸ったり噛んだりは許してないから、指と舐めるだけ。
でも、俺の乳首は、男のおかげでここだけでイけるようにされてしまってるほど感じる場所になってる。
摘ままれ、回され、反対側は舐められる。
痛みが脳と股間を甘く焼く。
そして、穴をじっくり指で犯される。
それが身体に澱のように溜まる。
叫ばないですむように押さえられた快楽にじりじりと焼かれる。
追い詰められない分、終わらない快楽。
あえいで、密かな声を漏らす。
気持ちいい。
気持ちいい。
たまんない。
でも。
でも。
「これじゃ、お前が・・・お前がいけないだろ・・・」
俺は男の頭をつかんで耳に囁く。
耳を噛んでしまった。
かわいくて。
男が喉奥で唸る。
耐えてる。
耐えなくていいのに。
咥えてやるし、しゃぶってやるし、一緒にしてもいいし、素股でもいい。
気持ち良くなれ。
でも。
こんだけ気持ち良くて、可愛いから、最後の一線だけは越えられない。
ここまで可愛くなってなかってなら、逆に気持ち良ければ突っ込まれてもいいかと思えたんだけど。
もう、身体の中を明け渡すのは別の意味がついてしまってるから、簡単には踏み越えられない。
「お前が気持ちよくないと・・・ヤダ」
俺が囁くと犬は、いや、男はさらにぐるぐると唸った。
犬?
犬って言った?
なんかわかんない。
愛しい大事なモノだコレ。
オレンジ色の目をした。
俺は男の頭を撫でた。
「オレが一番だ!!オレが!!」
男は唸る。
「うん」
夢現に俺は答える。
「オレがオレがオレが。内藤より、フワより!!」
犬が鳴いてる。
いや、男か。
ああ、可愛いなぁ。
「うん。お前が一番・・・ああっ」
また中を擦られイカされた。
「お前も・・・お前も・・・」
俺は舌足らずに言う。
唸り声と共に、巨大な性器と俺のまあ、間違いなく平均、もしくはちょっとは上だとは思う性器がデカい指に重ね合わさされ、擦りあわされた。
俺は声を堪えてその感触を楽しんだ。
こっちが出し終わっても終わってくれない、その切なささえ楽しんだ。
男が快楽を得てくれる方が気持ちいい。
それは。
もう分かってた。
でも。
だから。
最後の領域はこせなかった。
越すわけにはいかなかった。
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