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第22話
男の口の中に放った。
音を立てて男は飲み、さらによこせとでもいうかのように口全体をつかって絞りあげてくる。
出した直後にそんなことさらたなら、敏感になってるのに、玉まで揉まれながらそんなことをされたなら。
「やめ・・・やめ」
止めてと言えない。
逃げようとする腰を抱えられて、絞られ、俺はガクガクと身体を痙攣させた。
甘く性器を握り潰されるような。
なのに感じてしまって気持ちいいような。
そんな快楽は怖くて、つらくて、気持ちいい。
出してないのにイった。
声も出せない気持ち良さだった。
これは何。
こんなの、まだ知らない。
俺は玄関に崩れ落ちていた。
腰が抜けて立てない。
「気持ち良すぎて腰が抜けたか?大丈夫、そのうち、気持ち良すぎて失禁してしまうまでしてやる」
男が笑いながら言った。
それは。
悪魔みたいな笑顔で。
絶対嫌だと思った。
抱きかかえられた。
俺は確かにフワにも女の子みたいに抱きしめられてけど、小さくはないから。
痩せてもいないから。
それなりに筋肉だってある。
なのに、コイツにかかると、華奢な女の子みたいに扱われてしまう。
「オレだけ。オレだけ」
男はご機嫌である。
鼻歌さえ歌ってる。
どでかいそれでズボンの前をパンパンにして、俺を姫抱っこして、鼻歌歌ってるコイツってってかなりホラーだと思う。
でも、歌が妙に上手い。
でもなんで、フランク・シナトラなの?
お前基本的に選曲とんでもなく古い。
古いよ。
なんで、俺が知ってんのかって言ったら常連さんの中に元ジャズドラマーのじいさんがいたからだ。
じいさんは80はこえていた。
そんな年代人たちの・・・曲だぞ。
でも、その年代特有の今の世代にはない甘さは、男の声にはあっていて、男は女性視点で「私の全てはあなたのもの」と歌うナンバーを低く甘く歌った。
歌手にでもなれば良かったのに。
いや、こんな歌手はいない。
こんな殺人鬼みたいな歌手はいない。
それでも男の声は甘かった。
それは男に毎日囁かれる言葉だ。
「俺の全てはお前のモノだ」
でも。
でも。
もう要らないとは言えないよなぁ・・・。
だってこんなに嬉しそうなんだし。
なんか、もう。
男に布団にねかされてからは、自分から服を脱いだし、なんなら男の服も剥ぎ取った。
自分から男の唇を求めた。
男は餌を前にした獣のように唸り、俺の口の中を舌で犯し始める。
犯して欲しかった。
唾液をのむ。
いつの間にかどうやって取り出したのかわからないローションを後ろの穴に注ぎ込まれ、穴を責められながらするキスの気持ち良さ。
穴のその部分を執拗に擦られ、悲鳴をあげそうになる舌を甘く噛まれるこの感覚。
なんなら胸を摘まれ、穴をほじられ、舌が口の中を存分に犯してくるのだ。
布団を汚さないように、いつのまにかされたコンドームの中に、射精してしまう。
もう、俺はここを直接触られなくても全然イケる。
とんでもないエロボディにされてしまってる。
「オレだけか?」
甘えるようにささやかれた。
でも、安心させてやりたいとか思ってしまった。
嫉妬深い女の子と付き合う男の気持ちなんか分からないとずっと思っていた。
でも、でも、不安を脱ぎ捨てようとする、この健気さとか、自分だけなんだっていう嬉しさに泣きそうになってるところとか、こんなの見せられたら。
たまんなくなる、のは、わかった。
「お前・・・・だけ。お前だ・・け・・だ」
今度は射精しないでイキながら、俺は男にすがりながらいう。
可愛い。
きっと嫉妬深い女の子の良さってこういうとこ。
だけど、実際に女の子みたいに喘がさせられてんのは俺なんですが。
「オレだけ。オレだけ。オレだけ。オレだけ」
壊れた機械みたいに男は繰り返し、顔をクシャクシャにした。
泣いてやがる。
「泣くな・・・よ、ああっ、それ好きぃ」
俺は男の涙を指で拭き取り、でも穴を責めてくる男の指には尻を振る。
「可愛い、可愛い・・・なんて可愛いんだ」
男が泣きながら言う。
恋の成就みたいに。
こんなに喜ばれたら、そこまでの意味はないなんて・・・。
ああっ!!
クソ!!
でも、気持ち良く俺はイッた。
「お前も、お前も」
俺は男が気持ち良くなることをねだった。
お前が気持ち良くないと。
「してやる」
俺は男の股間の凶器を自分からしゃぶる。
これが嫌いじゃない。
他の誰のもごめんだが、コイツのは。
コイツが本当に喜ぶから。
男がしてくれるみたいに、舌先で穴をほじるように、裏筋を舐めて、玉までしゃぶって。
入りきらないところは手で扱いて。
気持ち良いか。
いいよな。
泣いてお前喜ぶからな。
「可愛い・・・可愛い・・・」
男は繰り返すだけだ。
優しく髪を撫でられる。
それ、可愛いって言葉以上の意味だよな。
お前には。
「愛してる」という言葉がないから。
意味を知らないから。
男の燃えるような目を見つめながら、フェラをした。
身体の半身の炎のタトゥー以上にその目は燃えるようだった。
その目を、中から炎が見える目を見ながら懸命に唇で扱いて、舐めて、吸った。
気持ち良くなって欲しかった。
愛してるの言葉さえ知らず、愛してることも知らず、それでも、俺を愛してるこの男に。
ああ。
もう。
仕方ない。
そうだよ。
お前だけだよ。
お前がいる限り。
これは正直、諦めだったんだけど。
悪くはなかった。
男が俺の口の中に放って、それをむせながら飲み干すのも、悪くないと思ってしまってるんだから。
俺は男のものを口の端から垂れ流しながら笑った。
男は震える手で俺を抱き寄せて、しばらく号泣してた。
可愛いと思ってしまうんだから・・・仕方ないよな。
まあ、結局。
次の日学校もバイトも休んでしまうことななるほど、した。
朝まで、互いに出し合って、中でいかされた。
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