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第24話

 気になった。  勘というか。  いや、フワが震えてたから。   フワの身体が震えてたから。  母親に肩を抱かれながら。  ダメなんだ。    これはなんとかしなきゃいけないんだ。  そう思った。    何かわからないけど、ここにフワはいちゃいけない。  そう思った。  でも、俺はまだその頃、10才で。  どうすりゃいいのかなんかわからないし、何が出来るかもわからなかった。  俺は途方にくれて、犬をみた。  犬はどうでも良さそうな顔をしてる。  犬はフワは基本どうでもいい。  犬にとってどうでも良くないのは俺だけだ。  でも、犬を見たら心が決まった。  俺は1人じゃない。  相棒がいる。  高い塀に囲まれた家は入り込めそうにはなかった。  子供にわかる隙もない。  でも、だ。  その隣の家はボロボロだった。  レンガで作られた壁の一部が崩れてた。  家のまわりを取り囲む壁から、中の植木かレンガを突き破っていた。  この家が長年放置されているのは間違いない。  外からだとわからないけれど、この隣の家からだと、この屋敷に入り込めるんじゃないか?  直感だった。  誰もいない隣の家を警戒するとは思えないからだ。  俺は覚悟を決めた。    フワは震えてた。  フワを助けないと。  フワは自分から助けを求める奴らじゃない。  誰かに迷惑をかけるくらいなら耐える。  俺は子供1人ならなんとか入れる塀の穴から、隣の家にしのびこんだ。  犬もついてくる。  見事なまでに荒れた廃屋だった。   昔は素敵な洋館だったんだろう。   どんな理由かは解らないけれど、蔦や植物に覆われ、なんかもう、自然に還っていた。  屋根とか窓も庭の木に突き破られていたし。  中に入ろうとは思わなかった。  目的の家との境目をさがす。  ああ、これはいい。  隣の家を隔てる壁に、斜めに傾いた木が寄りかかるように生えていた。  おれかけてそのままになったのだろう。  これは天然の梯子だった。  道路からの侵入には備えているが、この廃墟からの侵入は想定外だったのだろう。  仕方無さそうに、自分の敷地内の枝だけ切っているところからもそれはわかった。    「いくぜ、相棒!!」  俺は犬に言った。  犬は俺を見つめる。  俺が行くなら。  そういうことだ。  コイツとなら怖くない。  フワが待ってる。  俺はそれなりの角度のある木を、走って駆け上がっていく。  犬も続く。       駆け上がった先の塀は高かった。  2階くらいはあった。  でも俺達は駆け上がり、跳んだ。  何も考えちゃいなかったんだ。  

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