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第27話
男が俺を欲しがってる。
いや、それは前からなんだが。
でも、なんか、「オレだけなんだよな」と言いながら、俺の身体を貪るようになってから、なんか、ちょっと・・・。
はっきり言えば、突っ込みたがっている。
穴にあのデカい凶器の先端で何度もグリグリしてきて、そこに何度も何度も射精したりする。
ちょっとでも自分の精液を俺の中に入れたいみたいに。
前は指でイカせることがメインだったのに、なんか広げるみたいにされてるし。
なんか・・・昨日は「小さいヤツだから、な?気持ちいいぞ?」
とやたらといい声で言われて、小さいディルドを入れられてしまった。
気持ち良かった。
それでいつものところをこすられて、そして、もうちょい深いとこ擦られて。
そのディルドを絞りとるようにして感じた。
その形を味わった。
「クソっ・・・こんなおもちゃなんかに」
なんでか男は自分でしといて、ディルドに嫉妬してた。
ヤバい。
もう処女とは言えないかもしれない。
でも、俺の後ろはとっくに開発すみなのだ。
男は。
俺を欲しがってる。
俺の中に入るために着々と準備している。
その理由も分かった。
分かりやすい。
「オレだけなんだ」
というのを感じたいのだ。
男は性欲以上に俺が欲しいのはもう知っている。
だから重い。
重いから、最後の一線を越せないんだけど。
それも男はわかってる。
男は無理強いはしてこない代わりに・・・俺がいいと言った時のために・・・準備だけは始めているのだ。
いくら俺がいいと言っても、すぐに挿れられるようなもんじゃないからだ。
男のは。
本当に凶器なんだ。
「ぶち込みてぇ・・・」
唸るように言われたことは何度もある。
欲しいと、訳わかんなくなってる時には思ってしまうけど、男はそんな時にしてこない。
男は。
男は。
俺に本当に欲しがってほしいのだ。
これはもう、セックスだけの意味じゃない。
セックスだけの意味なら、俺はとっかの昔に男に俺に挿れることを許している気が・・・いや、でも、アレは無理。
無理!!
少なくとももうちょいマシなサイズなら。
裂けちゃう殺されちゃう!!
「ちゃんと準備したら・・・大丈夫だ。慣れたら他のなんか考えられなくなるぜ」
たっぷり俺の穴に向かって射精した後、男俺の太ももにその凶器を挟みこみながら言った。
デカさを感じる。
嫌、これは無理・・・てか、その断言できることが気に入らない。
「試したのかよ」
冷たく言ってしまう。
男は困ったような顔をする。
「仕方ないだろう・・・それこそお前で試すわけにはいかなかった。オレのサイズだと、簡単じゃねぇ」
男は否定しない。
この男は俺をちゃんと気持ち良くできるように、と、男の抱き方をどこでだかで勉強してきたらしい。
それを考えると、なんか身体が冷たくなる。
「他の連中なんて、単なる穴だ。でも他の穴に挿れたもんが嫌だっていうなら、絶対に挿れない。お前だけは違う。こうやって触らせてくれるだけでもいい。ぶち込みたいのは本当だけど」
男が必死で言い募る。
気に入らないけど。
気に入らないけど。
「俺に挿れたいのか?」
聞いてしまう。
分かり切ったこと。
「挿れてぇ。奥まで突っ込んで泣かせまくって、孕ませてぇ」
男は言ったが、俺は孕まないぞ。
だがコイツならそうさせそうな怖さがある。
「俺に子供生ませたいのか?」
俺は呆れる。
「嫌だ。子供なんかにやりたくねぇ」
男は唸る。
なんか矛盾しまくっているけど。
言いたいことはわかる。
それだけ俺が欲しいのか。
出るのは溜め息なんだが。
俺を見つめる目が燃えている。
炎や火花のような目の色は、遠いどこかの国の血か。
俺を焼き尽くす炎がそこにある。
コイツを本当に抱きしめると、コイツは俺ごと、自分用ごと、焼き尽くしてしまうような壊さがある。
「まだ・・・駄目だ」
そう言うしかなかった。
解らない。
解らないからこそ、ちゃんとしなければ。
この男をすべて受け入れてしまうことが、コイツの為になるのかも全部考えないと。
犬扱いしてるけど、犬と人は違う。
犬ならもっと簡単に寄り添えあえるのだ。
互いだけでいい。
でも人間は違う。
違うからこそ、考えたい。
だから駄目って言った。
男は何故か嬉しそうに笑った。
駄目だと言ってるのに何が嬉しい。
ニマニマ笑いながら俺にキスしてから、太ももに挟みこんだそれを大きく動かし始めた。
俺のが擦り合わされて気持ちがいい。
声を殺す。
我が家が壁が薄いのは変わらないから。
「いつか、はいいんだよな」
男が深いバリトンで囁いてきた。
ああ、そう解釈したか!!
ポジティブだよな、お前!!
でも否定出来なかった。
確かに。
あのデッカイのを挿れたら、もしかしたらとんでもなく気持ちいいんじゃねぇの、とか、思ってしまう時もある。
実際見たら、ビビるけど。
尻はヤバい。
本当にヤバい。
こんなに気持ちいいもんだとは思わなかった。
ディルドまで挿れられてそう思った。
でも。
それ以上に。
こんなに俺を欲しがる男に与えてやりたくなる自分がいる。
俺だけな男を俺だけにしたい俺がいる。
でも。
ここまで流されっぱなしだっからこそ。
ちゃんと考えないといけなかった。
「オレだけ」
男が嬉しそうに囁く。
熱い性器で俺の太ももや睾丸や裏筋を擦りながら。
その熱と硬さが俺を欲しがるものだとわかるこそ、俺は喘ぎ、声を堪える。
ああ、欲しがられるのって気持ちいい
だからこそ・・・
「お前だけだ・・・」
言ってしまう。
言ってしまうんだ。
そこでお前が、顔を歪ませて泣くから。
「何でもする何でもするから・・・オレはお前のモノだから・・・」
その声が悲しいから。
男の手を捕まえて齧る。
甘えるように噛む。
男が唸り、激しく動く。
強く擦られて、指を強く噛む。
「可愛い、可愛い・・・」
男がうめく。
俺がイって、男もイった。
嬉しそうに抱きしめてくる男の身体と体重を感じながら。
俺は決めていた。
ちゃんとしないとな。
とりあえず、今よりはちゃんと。
だけど。
正直。
気が重かった。
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