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第34話

 「どうしたの?それ?」  内藤が目を見張った。  「ちょっとな」  俺はごまかす。  内藤が驚いてるのは俺の首のギプスだ。  ドクターに指摘されて、鏡で見て驚いた。  首の痕がエグいことになってた。  ちょっと隠すのが大変なんてレベルじゃない。  歯型、吸い跡による内出血が顎の下から続いていた。  「大丈夫だよぉ、これさえつかえば!!」   ドクターが出してきたのが首のギプスだ。  仕方ない。  仕方ない。  あれでは無理だ。  ちなみに、胸も尻の付け根も、股も、へそ周りもエグいことになっている。  当分人前で着替えはできない。  快楽の代償を思い知る。  男だけは痕かあるのが嬉しいらしく、なんやかんやと撫でてきて鬱陶しかった。  「大丈夫?」  内藤が心配してくれる。  ありがとう内藤。  話せないくらい下らん理由だ。  俺はわらってごまかした。  フワに連絡がとれなくなった。  避けられてる。  フワは明らかに自分がひていることに俺を関わらせたくはないのだ。    冗談じゃない。  フワが話したくないなら待つつもりだった。  最初は。  でも、男やドクターが面倒だと言ってるなら、それはかなりヤバいことだ。  奴らは筋金入りの悪人なんだからな。  フワ。  一人で何とかしようとしてるなら。  それは間違いだ。  こんどこそ、俺はお前の助けになりたい。  「何企んでるの?」  内藤が聞いてくる。    ギクリとする。  大学のあと、例の女の子と会う約束をしているのを内藤は気付いている。  内藤は、思慮深い。  勘とかではなく、考えぬいて行動する。  だから、こう聞く時も、もう結論は出てる。  「ダメだ。面倒なことになる」  内藤に言う。  巻き込みたくない。  木漏れ日みたいな内藤。  平和そのものの男。  巻き込むべきじゃない。  「安心して。引き時はオレが決める。お前を殴ってでも止めるのがオレの役目だ」  内藤は言い切った。  内藤は頑固だ。  決めたら引かない。  でも確かに引き時を知れるのが内藤だ。  本当にヤバいタイミングを見極められる。  冷静に判断ができるのだ。    「危なくなったら、引けよ」  俺は言う。  俺は止まれないけど。  「お前も止めるよ」  内藤は言うがそれはない。  俺は行く。  一番深いとこまで。  そこにフワがいるなら。  「じゃあ、行くか」  俺は内藤た言った。  内藤と行くのは心強かった。  フワ、だから。  だから。  一人で何かをしてるんじゃない。  何かあるなら、俺と行こう!!  俺は内藤とフワを見つけに行くことにした。    

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