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第42話
「新緑会だな」
俺はフワに言った。
まあ、あの後すぐに俺達は解散した。
てか、撤収した。
俺と内藤は自転車に乗って現場をさり、どうやら自分の所有する車が人をはねた責任をとらないですんたことに安心した車の持ち主はフワを下ろして去った。
全員警察沙汰はまっぴらだった。
フワは、俺を約束した場所で待っていた。
そこから俺達はフワと一緒にフワの家に向かったのだ。
フワの家は。
何だか高そうな高級マンションだった。
稼いでるのは間違いないのだろう。
そして、とうとうフワは話してくれたのだ。
何をしようとしているのかを。
俺が新緑会の名前を出すとフワは諦めたように頷いた。
「サロンとは直接の関係はないんだ。でも、サロンから見つけてるんだ。『必要な子を集めることができる人間』を」
フワは言った。
金があるからこそ、許されないものが欲しい連中。
フワを車の中で抱いていたあの男もそう。
そういう連中に、必要なモノを集めることができ人間をさがす為にもサロンはあったのだ。
「例えば、彼女。彼女はボクがサロンをやめさせたけど、彼女はまだサロンの上部との繋がりはある。彼女は女の子を集めることが上手だから」
SNSで、モデル募集などで少女を吊り上げ、綺麗にしてあげると甘やかし、手なずけてから、少女達をそういう連中に「派遣」していたのだ。
「新緑会」と呟いたなら準備完了の印だ。
後は指定の場所に女の子を送るだけ。
彼女は成功者達との繋がりを維持できる。
時に優遇してもらえる。
コネや新しい情報にもアクセスできる。
そして、彼女もサロンの上層部の中の一人になることを夢見る。
女の子を提供するやりとり、特に女の子については記録残るようなことはしない。
呟くだけでいい。
「新緑会」
それで動きだす。
「彼女はやり手だった。彼女には印が見えるんだ」
フワは皮肉っぽく笑った。
「印?」
俺は聞く。
「誰かに傷つけられてきた子供だという印」
フワは言った。
傷付いた子供は、優しさに弱い。
愛に飢えているから。
そして、深く傷つけられているから、諦めるのが早い。
仕方ないんだ、と思ってしまう。
彼女はそんな子供を見つけ出すのに長けていたのだという。
「彼女はもっと成功したい。だから、力を持つものに取り入りたい。だから、女の子達を捧げてたんだ」
フワは言った。
あの綺麗な女の子達は、子供を欲しがる男達に貪られていたのだ。
「最初の一回を耐えれたら、次からはそれほどは苦しくない」
フワが光のない目で言った。
「印があるんだ。とうやっても消えない。印を見つけられるんだ。そして、つけ込まれるんだ・・・」
フワは頭を抱えた。
だから、俺はフワの隣に行き、フワの肩を抱きしめた。
フワは泣いた。
そして、俺はフワの過去を知ることになる。
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