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第43話

 フワは俺と引き離されてから、その後母親とは会うことはなかった。   フワはやっと受け入れたのだ。    母親は自分を愛してないと。       だから自分が自分を愛してやらないといけないんだ、と。  フワは決めてたんだそうだ。    とにかく、成功するんだ。  成功して。  何故か俺に立派になった自分を見せたかったんだそうた。  そうなるまて会えないと決めてたと。  「何でだよ。俺はずっと会いたかったし、アイツらだって!!オヤジも母さんも!!」  幼なじみの連中だってフワに会いたがってたのに。  父親も母親も!!  犬はそうでもなかった。  フワは苦く笑った。  その綺麗な顔の苦味はフワを大人の男にみせた。  「嫌だよ。ボクは次に君の前に出る時には、男に犯されるようなモノではない、すごい男として君の前に立ちたかったんだ」  フワの言葉にえぐられた。    そう。   俺はフワが犯されるのを見てる。    フワにはそれが耐え難いことでもあったのた。  俺が友達だったからこそ。  「結局。ボクは今でも。そうなんだけど」  フワの目がさらに暗く沈む。   車の中のアレを見てしまったのがフワにはやはりキツかったのか、  「君にだけは。見られたくなかったし、知られたくなかったんだ。あの時も、今も」  フワは泣いた。  「君にだけは。・・・だから、言えなかった」  フワは綺麗だった。  俺より大きなフワが、苦い涙をながすのは、大人の男が泣くのは、こんなにも綺麗なものだとは知らなくて、俺は一瞬みとれ、そして、つらくなった。  そうか。  そうだよな。  俺も嫌だ。  知られたくはない。  あの男とあんなエロいことを毎日してるとか、俺は後ろの穴でイカされるのが大好きとかは友達に知られるのは嫌だ。  俺は合意でもそうなんだ。  フワみたいに不本意だったなら、母親に強制させられたなら尚更・・・。  知られたくないよな。  「わかるよ・・・」  俺はフワの大きな身体を抱きしめる。  フワはピクリと身体を強ばらせる。  嫌だったかと身体を離そうとしたら引き寄せられる。  「知られたくなかったんだ!!」   フワはうめいた。  「わかる・・・わかるよ」  俺は涙ぐみながらそう答える。  「絶対、わかってないと思う」  なぜか内藤が天井を見上げながら、そう言った。  わかってるって!!  わかってるって!!  「ボクはだから耐えてきた。君の前に立派になって現れて、君を逆に助けられる位になって、カッコ良く登場したかったんた!!」  フワは嗚咽した。  そこまでして俺に会いたかった友情に俺も号泣した。  何故か内藤は頭を抱えていた。  中学になり、施設から中学に通うフワは自分の才能に気付いた。  小さかった身体が大きくなり、そして、自分には能力があることを知った。  頭は前から良かったが、フワには抜群の運動神経と見極める目を持っていた  どこで何をすれば一番効果的なのかを瞬時で理解できた。    フワはサッカーでその能力を最大限に生かした。  フワは知っていた。  何の後ろ盾もない自分が、生き残るならここしかないことを。  フワは特待生として、有名な私立高校に入学する。  そこの有名なコーチがフワに惚れ込んだのだ。  その学校はフワのように恵まれないだが、才能あふれる子供にチャンスを与えることをしていたのだ。  「そこで。印に気付かれた」  フワは呻いた。  フワは何故か俺を抱きしめるのをやめようとしない。  子供が不安な時に縫いぐるみを抱きしめるみたいなもんだろう。  フワの背中に手をまわしながら話を聞く。  うんうん、と頷きながら。  「寒くない?」  内藤がちょっと呟く。  確かに部屋の温度が下がった気と何か唸り声が聞こえた気がした。  「印って・・・」  聞きかけて、思い出す。  フワは言ってる。   何度も言ってる。  被害者の印。    サロンで本を多量に売ろうとしたあの女の子。  新緑会であの女に優しくされて、利用されている女の子達。  「アイツらは、何故か印がわかるんだよ・・・」    フワは震えた。  アイツら。  それはわかった。  加害者達た。  フワを脅したのはコーチだった。  言うことを聞かなければチームから追い出す、と。  「されたことはあるんだろ?」  誰もいないロッカーでそう囁かれた。  コーチはフワの過去を知っていた。  大人達は口が軽いことをフワは知る。  硬い節がある指でシャツのしたを弄られながら。  指は胸のそこを見つけ出す。  散々教え込まれたその尖りを。  摘ままれたなら、「知ってる」身体は震えたのだ。    「好きなんだろ」  囁かれた。    ズボンを下ろされ掴まれる前に、フワの性器は勃起していた。  そういう風に慣らされていた。  それをコーチは知っていた。    その手をふりはらえなかった。  フワにはチャンスだった。  このチームで成功することが。  フワはもう弱者は嫌だった。  力が欲しかった。     自分の味方になってくれる人はここにはいなかった。  それもフワは知っていた。  俺も犬も俺の父親も母親も、ここにはいなかった。  いや、犬は最初からフワの味方ではない。  「だから。またした。同じことを。せっかく君が助けてくれたのに」   フワは泣く。  コーチのを咥えた。  たっぷりなめて、唇でしごき、飲んだ。  求められ、自分で穴をほぐし、挿れさせた。  コーチはロッカールームでフワを犯した。  フワに悪いようにはしない、そうささやきながら犯した。  ひさびさの性交はキツかったけれど、仕込まれた身体は反応した。  快楽というよりは反応だった。   その方が耐えやすいことをフワは学習していたら。  喘いで感じた方が早く終わる。  気持ち良いようにした方が酷くされない。  これから逃げられないなら、そうするしかない。  フワはイったし射精した。  コーチは喜び、卒業するまでフワで楽しんだ。  コーチが望めば。  フワは身体を開いた。  仕方なかった。  どこにも味方はいなかった。  この学校はフワに沢山の支援をしてくれた。  スポーツだけではなく、勉強の方も。  必要な機材や機会も与えられた。  だから。  コーチのモノを咥え、穴を犯され続けた。  「ずっとしてる間考えてた。大人になったら君のところへ行く。君は犬とボクを迎えてくれる。いや犬はボクを無視するね。そして、おじさんおばさんのご飯を食べるんだって」  フワの言葉に俺はまた泣いてしまった。  フワは。    フワは。  俺を待ってたのに。  やはり、俺から探すべきだったのだ。  「泣かないで。君がいたから耐えられた。君がいなければ耐えられなかった」  フワは指先で俺の涙を拭ってくれた。  「部屋暗くなった気がする」    内藤がおびえた。  そう言えば、なんかライトが陰ったような気が。  俺にも獣の呻き声が聞こえた気がした。  ん?  「でも、大学は勉強ではいれたから。もうサッカーなんかしなくてすんだ」  フワは有名大学の奨学金を手に入れた。  ここでやっと、フワは誰にも支配されなくなった。    アプリを開発して、お金を手にしたのが始まりだった。  起業し、成功した。  システムを作り上げ、アプリをつくり、人をつなぐ。  それだけのこと、とフワは言った。    そして、その成功から請われて講師などを始めたことがきっかけでオンラインサロンにも繋がるようになっていった。  それほど熱心ではなかった。  まあ、仕事に何かプラスになれば、位のノリだったと。  そこには自分のようなモノはいなかった。  最初から一定水準以上の機会や機材を与えられたモノたちの世界だった。  フワは、もう少し成功したら。  俺達のもとに帰ってくるつもりだった。  「君を迎えに行こうと思ってた」  フワが何故会いにではなく、俺を迎えにこようとしたのかがよくわからないが、とにかく耐えてたフワを思って俺は泣く。  内藤がなんかソファからずり落ちてる。    でも、フワは気付いた。  そこに、印をみつけて、子供を貪る獣達がいることを。  新緑会。    そのシステムにフワも気付いたのだぅた。          

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