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第44話

 「女の子とか好き?若い女の子とか。ホントに若いね」    冗談混じりで言い始めたのはその男だった。  ずっとフワに言い寄ってきていた男で、 さっきまで車の中でフワを犯していた、俺がみたあの男だった。  冗談ぽくても、フワにはすぐわかる。 どれくらい【若い】女の子の話なのかも。  フワはそういう連中を知り尽くしている。  コイツはヤツらだ。  フワはわかった。  「ヤツらが【被害者】をわかるように、【ヤツら】をこちらもわかるんだよ」  フワは言った。  フワは高校を卒業後、印を徹底的に消した。  ヤツらにわかるサインを消すには、別の人間になるしかなかったからだ。  育ちの良かった高校の同級生達の仕草から話し方、そして、服装までをコピーした。  俺達が良いとこの子だと感じたのは当然だ。   フワはそれを演じていたのだ。  まるで社会的に力をもつ両親がいるように振る舞い、少し位無茶をしても、実家がなんとかしてくれるかのように。  失敗したら後がない必死さは絶対に見せなかった。  そういう弱さをみつけて、あの獣たちはやってくるから。  フワの前に獣は現れなくなった。  後はフワがもっと圧倒的に強くなるだけだった。  そんな時に獣があらわれた。  自分ではなく。  他の犠牲者を食らうために。  「可愛い女の子達とできるんだぜ、運がよければ処女」  下卑た笑顔で男は言った。  「男が好きなのかと」  何度も誘われたフワは動揺を押し隠しては、言う。  ゲイであることは、もうフワは隠してなかった。  「ゲイなのか?フワ」  俺は抱きしめられながら言う。  「うん」  フワは俺の髪を撫でながら言う。  そっか。    まあ、俺にはそれだけのことだった。  何故、内藤、そこでため息をつく。    「大人は男だけ。君もそう?それとも、男の子がいい?それもあるよ?」  男は言ってフワの頬に指を滑らせてきた。  パーティー会場でのことだ  いつもなら、その手を軽く払う。    でも止めなかった。  「それ」彼らは「モノ」として子供達を扱う。  フワは知ってた。    フワこそが「それもある」とされた、小さな男の子だったから。  フワは震えた。  小さな。   男の子。    それを男は勘違いして、フワの首筋、唇に指を這わしていく。  「男の子はなかなかないけどね。そう、男の子は:いいよ、でも、一番君がいいなぁ」  男はフワの首に噛みついていく。  フワはもう決めていた。  ここにいた。  ヤツらがいた。  今度こそ。  今度こそ。  本当にコイツらをやっつけるんだと。  そのために。  男と寝た。  そのためだけに。  「まあ、慣れてたしね。でも、ボクは本当はされる方よりする方がいいって言って断ってたんだけどね、でもあの男はずっと声をかけてきてて・・・」  フワの言葉にちょっとひっかかる。  「お前する方なの?」  ここで聞いてしまう。     俺、このままだと前使えなくなるんじゃないかって思う位後ろばかりなんですが。  前だけでもいけるようになりますか。  怖くなってるんです。  とは聞けない。  「そう。でも、本命のために童貞だけは守ってる」    フワがふざけていう。  童貞なの。  へえ。  俺と同じ。  てか本命?     「好きな子いるのか」と聞きかけてそんな場合ではないと話を促す。  フワは男から。  男以外の新緑会のメンバーとも寝て、それについて聞き出していった。  それとはなしに。  新緑会は。  かなり大がかりな子供を虐待するためのシステムだった。      

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