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第45話

 それは。  システムだった。  子供達を狩るための。  最終的に新緑会は子供達に子供達を集めさせていたのだ。   最初の子供達を集めるのはサロン若者だ。  若くて、子供たちが憧れるような。       モデルだとか、芸能界とかそういう言葉から始まり、華やかな生活を見せてやる。  それに子供たちは憧れる。  憧れたなら、そこから始まる。  こうなるためにどうすればいい?  せっかく今しかないものを使わないと。  あなたは素敵なんだから。  無駄にするべきじゃない。  今だけの価値で。  これが、この先に繋がるかもはれないんだよ?  孤独で、傷付けられた子供がいい。  諦めるのになれてしまって、助けなどないと知っている子供がいい。  経済的に貧しければもっていい。    シンデレラみたいにあつかってやれ。      一度目を耐えられたなら。  次からは誘いにのりやすくなる。    闇を含んで。  どうせ、助からないなら。  マシな道を選ぼうと。  そして、子供達に「友達を紹介してくれたなら、さらにお金をあげる」と言うのだ。  「紹介してれたなら、しなくてもいい」      子供たちは友達を売り始める。  しなくてもお金がもらえて、誉められるのだ。  言い訳をしながら。  何も。  何も悪いことじゃない。  これは。  私だってしたんだし。  自分がしてないんだったらアレだけど。     だって、まあ、相手はおじさんだけど、お金持ちだし、そう、エライ人なんだし。    友達に何も知らずにつれてこられ、犯される子供もいた。  見知らぬ誰かではなく、友達だまされて。  みんな、黙る。   ほかでもない友達に説得されて。     お金をにぎらせれて。  彼女達の人間関係さえ利用した、狡猾なやり口だった。  そうやって自分の手まで汚したなら、ますます子供達の口は堅くなる。  子供達さえ共犯にして、新緑会は成り立っていたのだ。  オンラインサロンの主催者が、主犯だとフワは考えていた。  自分達で楽しむために。  これよって自分を裏切れないように。  そして、子供たちを餌にして、もっと上の。  ネットで可視できないようなとこにいる大物にも子供たちをみついでいるのだと。    だけど。  証拠がなかった。  とても大きな組織なのに、捕まったとしても、上まてまのつながりを証明できない。  子供達が子供達を巻き込んでいるので、単なる子供達の非行、自分から身体を売っていることにされる可能性の方が高かった。  捕まったとしても、少女達に声をかけたセロンのメンバーまでだろう。  核には届かない。  狡猾なシステム。  フワは行き詰まっていた。  このまま告発したとろで、途中で握りつぶされるのはフワには痛いほどわかっていた。  フワの時でも。  結局フワの母親だけだ。  確実に罪に問われたのは。  それすら、公にはならなかった。  金持ちにはそれくらいの力はある。  「許したくないんだ」  フワは言った。  「こんなシステム作ったヤツも、運営しているヤツらも・・・許したくないんだ」  フワは俺をキツく抱きしめた。  フワの声の苦さ。  子供である時間を奪われた男の痛みだった。  子供から諦めと何かのために何かを差し出せと、強要されたモノの苦しさだった。  ただ無邪気な子供であることを奪われた者の苦痛だった。  「ボクには君がいた。だから世界を信じられた。高い壁を飛び越えて、ボクを救い出しにきてくれた。だからボクは世界が、諦めだけてはないって今でも信じてる」  フワは震える声でいう。  「俺じゃない。本当に役に立ったのは犬だ。俺はただの考え無しのガキで。結局お前を助けられなかった」  俺は言う。  フワは首を振る。  何度も振る。  「壁を乗り越えて飛んでくる君が。その君の姿を思うことだけが。ボクを支えてくれたんだ・・・」   フワの背中を撫でた。    フワ。    フワ。  どんなにつらかったか。  不意に何故か部屋が揺れた。    パシーン  パシーン  鋭い音さえした。  え、何怖い。  俺とフワが驚いて離れたら、それは止まった。  何これ。  ポルターガイスト?  「お前ん家、幽霊でもいるのか?」   聞いてしまう。  いや、いるとしたら俺の家だ。      なんせ、事故物件。  俺の家は前の住人の爺ちゃんが孤独死して、チーズみたいに溶けて発見されたからな。    なので家賃が凄まじく安いのだ。  幽霊は見たことないが、代わりにもっとヤバいのが今は勝手に住み着いている。  「幽霊なんかいないよ。非現実的だ」    フワが笑った。  「とにかく、今はここで行き詰まっているんだ」   フワは言った。  フワはどうやってでも、主犯の男をとうにかしたかったのだ。  このシステムを作り上げた、卑しむべき、でも、狡猾な男を。                

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