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第48話

 泣いてるフワを何でだか慰めてた。  「助けたら居つかれちゃったんだよ。そしたら、まぁ、何?そういうことに」  正直に申告。    いつの間にか戻ってきていた内藤が青ざめながら  「いつかはこうなると思っていた。大体来るモノはオールOKのその性格がだね、別に嫌じゃないからいいや、とかそういうところがね、そして、そのくせ責任とらなきゃとかになるそういうところがね」  内藤は珍しく長く喋った。  めちゃくちゃ怒られてた。  前回の騒動で半身タトゥーの入った男の存在が取り沙汰されていたので、さほど男の存在自体を、怖がりはしても内藤は驚かなかった。  だが。  性的関係に、なし崩し的にそういう関係になってしまったことはとてもとても怒られた。    男だったことには驚いたが、こういう風に、押しきられ流されることはあるだろうと内藤は予想していたらしい。  だからこそ怒った  怒られた。      なんか色々怒られたがその通りだとも思ったが、もうそうなってしまったことには仕方がない。  開き直って男を内藤やフワに紹介した。  なんというか、一緒に住んでて、まあ、そういう関係の、それなりに責任と誠実であらなけらぱならないと思っている存在、として。  この関係に名前はない。  強いていうならば、性行為を伴う、犬と人間の関係だが、それは気持ち悪すぎる。  却下。  「ボクがボクがもう少し早かったなら・・・わかってたのに。わかってたのに・・・君なら絶対流されるって。でも君の素晴らしさなんて・・・その辺の女の子にはわからないからって油断してたのに!!」  フワがぶつぶつ言っている。  なんか失礼なこと言われてない?  女の子には俺の良さはわからないって。      ・・・そうだけど!!  良い人止まりだけど!!  「とにかく、コイツは、まあ、なんだ、俺が誠意を持って性行為をしている・・・名前は知らない、男だ」  その言葉に、また内藤が激怒する。  一緒に暮らして、セックスしてる相手の名前も知らないのかとかそういうとこで。  いや、ホント。  仰る通りなんですが、教えてくれないんだよ・・・。  「最後に責任とればいいって考えてるような男は最低だからな!!」  俺は内藤に怒られ、今度は男がキレる。    「なんだテメェは人がせっかく、もうすぐ挿れさせてくれるまでにしたのをひっくり返そうっていうのか!!」  とか怒鳴りはじめて。  それに内藤が怯えて物陰に隠れて、  「まだ最後まではしてないんだね、してないんだね、してないんだね」  何故か泣いてたフワが踊り始めて。  「コイツはテメェとはしねぇよ、クソビッチ!!」  それに男がキレる。  「清らかな童貞だよ、ボクは。お前と違って汚れてない!!どうせヤリチンだろ、ボクはそっちは清らかだ」  フワが怒鳴り返す。  「オレはコイツとするために技術を磨いてたんだ!!突っ込んだこともねぇ奴は黙ってろ!!オレが一番上手い!!練習したからな、良すぎて失禁しながらイカせる自信もあるぜ!!」  男は喚く。  何言ってんだこのバカ。  「ヤられたこともない奴が、ホントに中の良さがわかるの?思い込みなんじゃない?抱かれる側は演技するからね。・・・それにボクなら挿れさせてだってあげるんだかね。ボクならどっちでも楽しませてあげれるし」  フワが何か言ってる。    ええ?  ええ?  「コイツがしたいんならオレだって、抱かれてやる!!」  男が怒鳴った。  お前ヤケクソになってるだろ。  「ええええええええ!!!」  何故か悲鳴をあげたのはドクターで。  それに小さなどこかに隠れた内藤の悲鳴も重なって。  もちろんボクはコイツがいくら可愛いなどなどと思ってもそんなことは有り得なくて。    無理だ。   抱けない。  抱けないってば!!  とにかく  とにかく  もう限界だった。  何、この地獄絵図。  「うるせぇ!!!」  男にもフワにもどなった。  「内藤、帰るぞ!!」  この世界にたった一人マトモな人間を呼んだ。  「新緑会についてはまた明日だ!!」  オレはそう言い捨てて、怯えてる内藤を物陰からひきずりだし、二人で自転車に跨がって走り出した。  フワと男が何かいってたが知らない。  もう訳わからん。  「・・・まあ、内藤そういうことだ」  オレは気まずく内藤に言った。  自転車でゆっくり並んで走りながら。    「決めてはいるんだね」  内藤は言った。  「成り行きだし、流されたし、アイツがヤバいのは間違いないけど。決めたのはオレだ」  それだけは確か。  「絶対スゴイ子と付き合うハメになるとは思ってたけど、予想をこえてた」  内藤は淡々と言った。    受け入れられるお前のがスゴイ。  「まあ。なんだ。しんじられないことに。可愛くはある」  告白した。  「それは信じられない」  俺の親友は冷静だった。  「まあ。頼む」  俺はそれだけ言った。    「仲良くしろとは言わないでくれよ」  内藤はそう答えたから。    受け入れてくれたのだ。  とりあえず。  俺は友人達に男と付き合っていることを公開した。  それは、また一つ。    自分から深みにはまったということで。  もういいか、とも思い始めていた。  まあ。     可愛いのだ。  自分でも信じられないんだけどな    

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