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第51話

 「よし、いいか?」  俺は確認する。  朝飯はナスの味噌汁だ。  ナスを炒めて味噌汁にしてたっぷりのネギを加えている。  そこに焼いた鮭をつけた。  玉子焼もだ。  玉子焼はネギとジャコ入りで、これは弁当のおかずにも、置いていく男の昼飯用にも加えてある。  男の好物だ。    解凍したブロッコリーとトマトのサラダ。   立派な朝飯だと思う。  食堂の息子だ。  食は基本だ。  大事にしてる。  「フワとは喧嘩しないこと」  俺の確認事項に男は唸り声を出す。     不服だか、男は俺の言うことに反対はしない。  だがそういうのでは困るのだ。  俺に従うのではなく、ここは納得して欲しい。  「愛してるよ」  言ってみて照れる。   照れまくる。   顔があげられない。  女の子に告白だってしたことなかったのに。  もういきなり、両親や友達に紹介するレベルの相手が出てきてしまってるんだから。  味噌汁を箸でかき混ぜてたら。  あまりに反応がないので顔を上げたら、男が意識を失っていた。  胸を抑えて倒れていたのだ。  「おい!!」  慌てて側にいくと、肩で息をしながら、男はつぶやいた。  「7発ぶち込まれた時より・・・きいたぜ。オレの心臓を止めかけたのはお前が初めてだ・・・」  結構本気で言われた。    男の身体にある銃創は知ってる。   あれは一度にぶち込まれたヤツだったのか。  「あのな」  俺は呆れた。  こっちだって恥ずかしくて死にそうだ。       でも。    この辺理解してもらわないと、フワや内藤の命が危ないのだ。  愛してるのはお前だけだと。  ああ、嫌だ、  恥ずかしくて死にそう。    死にそう。  でも男が笑ったから。    悪魔じゃない顔で、俺を見上げて笑ったから。  言ってやって良かったと思った。  「お前はオレを愛していて、オレだけがぶち込める」  満足そうに、ロマンチックではない言い方で確認されて、恥ずかしいからブンブン頷いておく。  「そうだよ!!」  とは言っておく。     「フワとは喧嘩しない、内藤をいじめない」  もう一度言う。     男はため息をついたが、不服の響きは最初よりはない。  納得はしてくれたようだ。    ため息の後に笑った。  俺に向けて笑う笑顔の柔らかさに、なんか切なくなった。  そんなにも嬉しいのかと。  ああ、いい男だな、と。  「さっさと食えよ」   照れ隠しに言った。  男は起き上がり、俺の唇に軽くキスして、飯を片付ける。  俺はもう。  照れすぎて。  死にたい。    そして、朝食の後、お出かけのキスとかをさせられて、俺は家を出たのだった。  なんかな。  なんかな。  なんかな。      でも、悪い気はしなかった。    男との関係をすすめて良かったと思った    学校の後、内藤と会いにいったフワ方がとても怒っていて大変だったけど。  

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