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第55話

 「内藤・・・お前は参加しなくていいんだぞ」  俺は内藤に言う。  準備は済んだ。  今日は作戦決行の日だ。  下手すりゃ俺達は前科者だ。  沢山の犯罪を行うことになる。  失敗した場合、俺は男と逃避行するか、刑務所に入るかを決めなければ。  男は俺と逃げるのを楽しみにしてる様子が伺われて、なんかイラつく。  逃避行となれば、俺は男とだけいることになるからな。  二人だけになることが男には嬉しくて仕方ないのだ。  むしろ失敗を願ってるんじゃないかと思えるところさえある。  あのな。  でも、作戦を止める気はなかった。  フワはこれを成し遂げなければ、フワが救われない。  俺はフワが救われなければ、俺も救われない。  俺達は自分の罪悪感や自分が在るべきことのためにやってるんだ。  自分のためだ。    男は俺のため。  まあ、ここは運命共同体だし、元々男は犯罪行為に全くの抵抗がない。  ドクターには罪滅ぼししろとしか思ってない。  内藤は違う。   内藤だけは違う。  「オレがいないと、誰もマトモな判断できないだろ」  内藤は笑った。  それはおっしゃる通りです。  言葉に詰まる。  「これしかやり方がないのか、とも思ったけど。そのままにしておいていいことなんかないんだ。オレは臆病だし、ヒーローじゃないけど、子供は助けたい」     内藤は。  内藤は。  本当に良い男だった。  思わず抱きついたなら、フワと男に引き離された。  なんだよ、お前ら。  仲良しじゃないか。  とにかく、作戦を決行する。  証拠となる動画、音声、画像を手に入れ、女の子達とフワを救い出す。  「始めるぞ!!」  俺達は作戦を開始した。         

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