55 / 71
第55話
「内藤・・・お前は参加しなくていいんだぞ」
俺は内藤に言う。
準備は済んだ。
今日は作戦決行の日だ。
下手すりゃ俺達は前科者だ。
沢山の犯罪を行うことになる。
失敗した場合、俺は男と逃避行するか、刑務所に入るかを決めなければ。
男は俺と逃げるのを楽しみにしてる様子が伺われて、なんかイラつく。
逃避行となれば、俺は男とだけいることになるからな。
二人だけになることが男には嬉しくて仕方ないのだ。
むしろ失敗を願ってるんじゃないかと思えるところさえある。
あのな。
でも、作戦を止める気はなかった。
フワはこれを成し遂げなければ、フワが救われない。
俺はフワが救われなければ、俺も救われない。
俺達は自分の罪悪感や自分が在るべきことのためにやってるんだ。
自分のためだ。
男は俺のため。
まあ、ここは運命共同体だし、元々男は犯罪行為に全くの抵抗がない。
ドクターには罪滅ぼししろとしか思ってない。
内藤は違う。
内藤だけは違う。
「オレがいないと、誰もマトモな判断できないだろ」
内藤は笑った。
それはおっしゃる通りです。
言葉に詰まる。
「これしかやり方がないのか、とも思ったけど。そのままにしておいていいことなんかないんだ。オレは臆病だし、ヒーローじゃないけど、子供は助けたい」
内藤は。
内藤は。
本当に良い男だった。
思わず抱きついたなら、フワと男に引き離された。
なんだよ、お前ら。
仲良しじゃないか。
とにかく、作戦を決行する。
証拠となる動画、音声、画像を手に入れ、女の子達とフワを救い出す。
「始めるぞ!!」
俺達は作戦を開始した。
ともだちにシェアしよう!