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第58話
フワは男達と一緒にパーティー会場になるその部屋へ向かう。
男達は浮かれていた。
何人かの女達もいる。
彼女達は、女の子達を「招待」していた。
サロンで力や発言力のあるその男達に、行為を望まれたなら、拒否することは難しい。
カルトなどの指導者からの性行為の強要されるのに似てる、フワはそう言った。
サロンはもう存在意義にすらなっている。
そこでの人間関係、そこでの自分の地位、それらこそが大事になっているからだ。
そこで地位や影響力をもつ者に、要求されることを断ることは難しい。
そこ以外ではもう生きれなくなっていればいるほど。
そしてそうした関係を結んだ彼女達に、次は女の子達を連れてくるように言う。
彼女達は一度、「嫌なこと」を自分の意志でねじ伏せてしたがったからこそ、その要求に応えることは難しくなくなる。
自分も納得して従った、と思っているからこそ。
自分がしたことを、人にさせることは。
自分がしてないことを人にさそるよりも、たやすいのだ。
「最初はちょっと嫌かもしれないけど・・・」女の子達にまだそれほど年齢も変わらない若い女は言うだろう。
「なんともなくなるし、自分の望みが叶うんだよ」
既に誰かに貪られたことのある女の子なら、もっと簡単になる。
少なくとも、世間的には立派な紳士だし、金持ちだし、暴力をふるったりしないし、お金や便宜も図ってくれる。
「私もそうしたの」
若い女達もそうしたと聞けば、女の子達の警戒心は解ける。
綺麗な女。
キラキラしている女。
この女の人なら、間違いないと。
会場に正面から入るのは、男達、フワ、女達だけだ。
このパーティーには、いつもの無料報酬ではたらくサロンのスタッフもいない。
中で起こることは全て秘密。
ホテルももちろん知らないことになっている。
スウィートルームを尋ねる客については、プライバシーとして記録が残ることなく、一人一人、女達がロビーに迎えに行く少女達がどこの部屋に行くかも咎められることもない。
淫らなパーティーが始まる。
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