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第61話
フワはその日の内に告発ブログを発表した。
少女達との関係をみとめる音声。
少女達と男達の会話。
顔はわからないけれど、明らかに子供だとわかる少女を抱きしめている際どい写真、動画。
それらもつけて。
少女達の顔だけは写さなかったが、男達や女達の顔や、そして、自分の顔はフワはかくさなかった。
カルトのようなサロンの力関係の構造。
集めた女の子達に、新たな女の子を誘わせることで共犯者にするやり口。
それらについてもフワは書いた。
そして、かかわった人間を実名で書いていた。
フワは自分の過去も明らかにした。
親から売春を強要されていたこと。
コーチからの性加害。
全てを書いた。
「この先、自分のような子供が出ないで欲しい」
そう訴えた。
フワは信じている。
そう書いた。
子供を貪ることが当たり前だと思う、そんな人間の方が少ないはずだと。
それを「当然だ」などと思う人間の方が少ないはずだと。
子供を守って。
そう訴えた。
子供は犯されながら、一生懸命楽しいことを思い出して耐える必要なんかないし、それを選ばされる必要もないんだ、と。
子供に金や何かと引き換えに、選ばすこと自体が、間違っている。
選んだからその子供はそういう子供だと、そういう風に言わせるような連中を許さないで、と。
法律的には。
この国はそういう子供達に優しくない。
子供達が悪い、そう言い張る連中もいた。
でも。
でも。
かなり沢山の人達が。
いや、沢山の沢山の人達が。
フワのブログに同調してくれたのだ。
思っていた以上に。
男達はあの後、警察を呼ぶこともなかったが、ブログ発表で、警察の方から一応呼ばれた。
フワが発表した写真や動画から、事実を一部認めはしたらしい。
条例違反の罰金刑にはなるようだ。
これはフワのブログの衝撃に比べたら、大した罰にならないことは確かだった。
警察は、男達が語るホテルに現れた半分燃えた悪魔については、人間が壁を蹴破ったり、ドアを破壊するなんて出来るはずもないから、男達の作り話ということになったようだ。
フワもブログには書いてない。
焼かれながら暴れる悪魔など、いるはずがない。
実際に焼かれたのはフワだった。
フワは我が身を切り刻み、サロンの信者達からの誹謗中傷、興味本位の連中のゲスな言葉、それらをなげつけられながら、それでもやり通したのだった。
テレビにも出た。
インタビューにも答えた。
その全てで、責められた。
でも。
でも。
それ以上にフワを信じて支援する人達が沢山現れた。
そして意外にも、男達はフワを訴えなかった。
これについてはどうやらドクターが絡んでいるようだつた。
ドクターは男達の携帯の情報から、もっと違う筋のヤバいものを引っ張り出したようだった。
それは、暗い社会と繋がるものから、表に出ては絶対にいけない取引のようなもの。
倫理ではなく、それを表に出したなら自分達の存在が命が危なくなるようなもの。
ドクターは悪人らしく、ちゃんと使って脅して利益をだした。
そちらに金がかかりすぎ、フワを訴える資金力が奪われていたというのが正解らしい。
「子供を買う変態」
男達のその事実は明らかになったし、財産はドクターに根こそぎ削られた。
前ほど好きなことは出来ないだろう。
今ではかれらを忌み嫌う人達もいるのだ。
でも。
それくらいで済むのだ。
刑務所に入ることもない。
そんなものなのだ。
フワがこのために我が身を削って捧げたものに比べたならば、この男達はこの程度のことですむのだ。
俺はなんだか。
なんだか。
やりきれなかった。
「まあ、女の子達を引き受けてくれたあのシェルターに寄付しておいたし、それでよしとしようよ」
ドクターの言葉に頷くしかなかった。
これが。
これが。
精一杯なのだ。
でも。
でも。
テレビに映るフワ。
フワは綺麗で。
フワは闘っていた。
フワは戦うだろう。
これからも。
子供達のために。
フワは。
子供達のための。
性的に貪られる子供達、貪られた子供達のための団体を作ることを発表していた。
「助けが来ると、助けてもらえるんだと、子供達は知らないといけないんです!!」
フワはそう言っていた。
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