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内藤君とドクター オマケのオマケ1
「嫌だ、こんなの違う・・・」
青年が泣き叫ぶ。
でも、抵抗する腕に力はない。
ドクターの指はだれよりも繊細にいやらしく動くのだ。
その手で性器を扱かれて、感じない男などいない。
巧みな指は、神業のような手術さえ可能にする。
皮膚の下の神経さえ、その指は感じとる。
「いやぁ、いやぁ」
そう叫びながら、青年は達した。
指だけで、こんなに感じさせられたことがない。
全部が完璧だった。
擦る場所、力の入れ具合、握られる感覚。
「嫌じゃないでしょ?気持ちいーでしょ?」
耳を噛まれた。
射精した。
初めて射精した時以来の衝撃に身体が戦く。
手でされただけなのに。
そして、その怖い指が乳首に触れた。
ゆっくり摘ままれ絞られ、離される。
痛みが響く長さが、指が離れる余韻が、全てが脳と股間にくる。
青年はまた勃起した性器をドクターの硬い腹にこすりつけて、泣き叫ぶ。
部屋に連れ込まれて、服を無理やり脱がされて。
ベッドに押し倒されて。
なのに。
なのに。
もう抵抗出来なくなっている。
「違うでしょ?君はこうなりたくて、僕についてきたの」
ドクターが囁いた。
「僕に会った時から僕としたかったでしょ?」
ドクターの指が尻のそこに入るのを青年は許していた。
そんな穴を指が犯すのを。
中で動かされ喘ぐ。
気持ち良さはまだない。
でも期待していた。
何を?
青年は絶望的にドクターを見つめる。
この人はダメだ。
男だからじゃない。
自分には。
自分には。
恋人がいる。
愛してる恋人が。
「女なんか、つまんないよ、教えてあげる・・・ここで、男を受け入れたなら、もう女なんて抱けなくなるよ」
その言葉と同時に穴に入れていない指で乳首を弄られた。
そんなとこで感じる筈がないのに、まるで神経を掴みだすような指がそこを性器だとおしえこむ。
「嫌だ・・・乳首嫌・・・」
こんなところで感じたくなくて、青年は泣く。
ほんのさっきまで。
この男とこの部屋に入るまで、恋人のいる普通の男だったのだ。
確かに、この男とパーティーで知り合って、少しドキドキしたりはしたけど、それはこんなのじゃない。
「ああ、いいねぇ。ノンケを雌に変えるの僕大好き」
男は笑って指を穴の中で動かした。
青年は身体を痙攣させた。
勃起していた前がはじけて射精した。
それは、知らなかった感覚で、恐怖のあまり、叫んだ。
だが、指は止まってくれない。
ほじり出す。
神経を見つけ出し、指先で捉えて、押さえ、つぶして、溶かしていく。
その指は、異様だった。
触れるってこんなことじゃない。
こんなこんな、怖いことじゃない、
皮膚を溶かして、神経を直接操作することじゃない。
青年はその指に怯えた。
焼ける火箸
凍った刃
でも、それは性器から精液を吹き出させ、身体の芯を砕き、脳を焼く。
快楽というよりも、拷問のように
ふひぃ
ひぎゃあ
殺される前のような声を出した。
性器から精液が吹き出すのが止まらない。
ドクターは壊した。
青年の身体と心を壊した。
壊されたのだ、と青年は理解した。
腰を振り、何度も前から吹き出させ、青年は泣き喚きつづけた。
脳が焼け切れそうだった。
「許して・・・許して・・・」
青年は願った。
だから、指の代わりに性器をあてがわれた時、泣いて喜んだ。
あんな怖いのは嫌だった。
性器がくれる快楽は、優しくて甘くて。
それを喜んで受け入れた。
指は嫌。
あんな怖いのは嫌。
男とするセックスが初めてなことももうどうでも良くなってた。
脳がおかしくなる程、虐められたあとの優しさに、溶けきり、青年は言われるがままにドクターの言いなりになった。
口と喉をつかって、ドクターのものを受けいれることさえしたのだ。
「愛してる・・・愛してるよ。君だって僕を愛してるよね」
溶けた脳に声が染みてくる。
青年は、ドクターに貫かれながら頷く。
「好きぃ・・・好きぃ」
舌足らずにくりかえされる。
ドクターはすっかり可愛くなった身体で楽しむ。
ノンケ落としは最高だ。
この青年はあの会社の情報をいくらでも流してくれるだろう。
ノンケの男が男に抱かれてここまで落とされた。
それは心の奥まで侵入させたってことだ。
誰にも言えない関係だからこそ、のめり込んで、いくらでもこちらに従うようになる。
可愛い。
ドクターはそう思った。
利用し尽くすまで、かわいがってあげよう。
サヨナラする時は本当に泣けるかもしれない。
ドクターは、青年を怖がらないように優しく感じさせてやった。
彼は情報流出で一生を棒にふる。
僕に騙されたとは気付かせないけれど。
だからこそ、それに見合うだけの幸せな恋をさせてあげないと。
この数日で、一生分の快楽を。
ドクターは真っ当な詐欺師としてやり抜くことを誓ったのだった。
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