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第7話

 閉店後は、深夜営業をしているカフェで待つことになり、内心少しだけ心細い時間を過ごしたが、ほどなくして琉季やソラと合流してバーへと向かった。 しかし、そこに入ると圭太は目を丸くしてしまった。 「え、ここって……」  店の外観は特徴があるわけでもなく、黒い壁でさりげなく店名の看板がかかっているのみ。 しかし一歩中に足を踏み入れたら、そこには圭太にはあまり馴染みがない空間が広がっていた。 このバーは、コンセプトバーの一種でアニソンバーというらしい。 店内ではテレビで放映中のアニメ主題歌がかかっていて、そこかしこにアニメのグッズやフィギュアなどが飾られているのが見えた。  圭太はアニメが嫌いなわけではないが、オタクというほどでもなくこの異空間に目を丸くした。 「すご……」  思わず口に出すと、琉季は少し不安げに聞いてきた。 「アニメとか嫌い?前もって言っておけばよかったな」 「ううん、大丈夫だよ。初めてで少しだけ戸惑っただけだよ」  そう返すと琉季は安心した顔を見せ、同行してきているソラも圭太の背中をポンと叩いてくれる。 「面白そうじゃん、ここ!楽しもうよ」  3人は店の奥に進み、敢えてテーブル席に座った。3人だしその方が話しやすいからという、ソラの配慮から。 「アニメとか好きなの?」  隣に座る琉季に聞いてみた。これまでこういう話をしたことがなかったから。 「うん、好きだよ!暇あれば良く観てるかな。圭太は?」 「僕はそこまで観てはいないけれど、割と好きだし有名な作品は観るよ」 「そうなんだ!じゃあさ、EXITとか観た?」 琉季は普段に増して一層輝く目で聞いてきた。 「あー、去年放送してたよね。最初見逃したから観てないんだ」 「そか。DVD発売になってからすぐに買ったんだ。興味あるなら貸すけど」 「面白いよ、EXIT」  ソラも知っている作品らしく、勧めてくれる。そう言われると断るわけにもいかない。正直、テレビでの放送を見逃したのを後悔していたのだ。 「うん、じゃお願いしようかな」 「分かった。じゃ今度貸すから。忘れずにな」  屈託のない笑顔で言う琉季を見て、シビアな世界に生きる琉季がアニメ好きとは知らなかったし、可愛い一面があるように感じられた。

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