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第22話

「俺、もう……ダメ、だ……」 「え、っていうか今どこ?」 「み、せ……」 「お店にいるんだね?僕が行くからそこで待ってて!」  そう言うなり、圭太は琉季の店へと走り出していた。嫌な予感がしてならないものの、早く状況を確かめたかった。心配で心配で、胸が押しつぶされそうだ。 逸る気持ちを押さえて、店へと急ぐ。 夜中の店に息を切らせて辿り着くと、店内は真っ暗だった。圭太は自分の携帯電話の明かりで店内の様子を探ってみたが、辺りは散乱していてイスは転がっているし、テーブルが倒れ灰皿も足元に落ちているようだ。  そして注意深く見てみると、暗がりに人が倒れているのが見えた。琉季だ。 「琉季さん!」 服は乱れ、顔や胸元には痣ができていて、口から血も流れている。そしてぴくりとも動かない。 「琉季さん!」  ゆすりながらもう一度呼ぶと、ゆっくりと琉季が目を開けた。 「あー……来たか……」  消え入りそうな声で、琉季が口を開く。 「来たかじゃないよ!いったい何があったの?」 「ボコ、られた」 「いや、それは分かるけど、どうしてこんなに?」 「俺が、店の金盗ったんだってさ……」 「は!?なんで……」  琉季はクズっぽいところもあるけれど、そんなことをするような人間ではないと信じたい。なぜこんなことになったというのだろうか。 「内勤のヤツが、店の金なくなって、それが俺のせいだって上司に言ったらしい」  ふと、圭太の脳裏にいつも店のカウンターにいてにこやかに出迎えてくれていた、店舗運営の彼の顔が過った。

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