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第24話
琉季は一人暮らしをしていて、ワンルームマンションに住んでいた。意外と綺麗にしていて、小ざっぱりとした空間だ。
家に着くなり、琉季をベッドに寝かせた。そして救急箱があるか聞き、消毒液や絆創膏はあるというので、顔や腕などの見える傷を手当てした。
「ありがとな、圭太」
「ううん。取り敢えず目に付く傷は手当てしたけど、骨とか大丈夫かな。本当に病院行かないの?それに、警察に通報した方が……」
本当なら、無理してでも救急病院に連れていくべきかもしれない。けれど琉季は首を緩く横に振った。
「いいんだ。医者に色々聞かれるの避けたいしさ。俺、丈夫だからすぐ元通りになるって。それに警察沙汰にしたくないし」
琉季はそう言うが、気休めに過ぎないことくらい圭太にも分かった。でも、彼の気持ちを尊重し、あまり無理強いはしなかった。
「だといいけど」
「あーぁ……しばらく店に出れねぇな。色んな意味でな。どうしよ、売り上げが……」
「僕が、元気になったら沢山入れるし、支えるから安心して」
「圭太……」
琉季は少し驚いたような目を向けてきた。
「今は安静にして、しっかり治して。それからお店のこと考えれば良いよ」
「そうだな……」
「ねぇ、何で僕に連絡してきたの?他にもいるだろうに」
さっきから、聞きたかったことを聞いてみた。きっと琉季は上手くはぐらかしたりするだろうけれど。
「え?あぁ。なんか、くたばりそうになって、お前が頭に浮かんだんだ。なんでだろうな。咄嗟に、お前に電話してた」
そう言うと、琉季は何とか身を起こしてしゃがんでいる圭太の額に唇を押し当てた。
「るっ、琉季さん!」
慌てて圭太はよろめき転んでしまった。そして、一気に顔が熱くなるのを感じた。
「今日はありがとな、本当に。お前のおかげで助かった」
「ううん」
圭太は体勢を立て直して立ち上がり、帰ろうとする。
「そろそろ帰るね」
「何か寂しいけど、気を付けて帰れよ」
笑顔で頷き、圭太は琉季の家を後にした。
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