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第25話

 琉季は2週間ほどで仕事に復帰し、店では暴行を加えた上司に謝られ、琉季の処分はないことになった。それどころか慰謝料までもらったという。店の金がなくなったのはやはり内勤の男の仕業であり、彼は雲隠れして連絡が付かなくなったと説明を受けたらしい。  圭太はというと、初めてウリ専の客となってくれた男が、どうしてもまた会いたくなったということで、久しぶりにまた利用してくれた。そしてそれ以来コンスタントに指名されるようになっていった。 琉季との関係も、相変わらずでそのままの状態が続いた。琉季への恋心に気付いたものの、本人に言えるわけがない。きっと、彼にしてみればただの金づる。自分のことは”金”にしか思われていないことくらい分かっていたから。それでも、辛くても支えていくしかないと思うし、耐えるだけだと思っている。琉季と離れたくないから。 逃げ出したくなるかもしれないけれど、耐えようと心に誓ったのだ。  そんな気持ちを引き摺りながら、月日は流れていく。  日中は暑いくらいに感じるようになったある日、圭太は指名してくれている客・菅野と会っていた。既に20回以上は会っていて、良いボーイとお客の関係を続けている。  30代半ばだという彼は、営業マンをしているらしいが詳しいことは知らない。お客のことはあまり詮索しない決まりだからだ。  そんな彼は謎めいたところもあるけれど、紳士的で優しい人で圭太も安心して関わることができている。 今日は、彼が圭太に見せたいとホテルの最上階にある夜景のキレイに見えるレストランに連れてきてくれた。 いつもなら居酒屋などで食事をすることもあるが、今日は何故か奮発してくれたらしい。  一応、圭太も場所を考えて恥ずかしくない服装でここを訪れた。

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