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第43話

地元に戻り、自分に何ができるのかを考え、いずれ母親のために役立つだろうということで、介護施設でパートとして働き介護を学んでいくことを決めた。 圭太は一人っ子であり、母親には自分しか子どもがいない。 だから、将来的に圭太が母親をみることになる。 今は母親も年というわけではないが、介護を学びいずれはきちんと資格も取得したい。   「いいのよ、私のことは。それより、あんたの生きたいように生きなさい」  大分体調が戻った母親に自身の決意を伝えると、母親は否定的だった。 「大丈夫だよ。これが、僕が生きたい道だよ」 「本当なの?」  母親は訝しがったが、圭太は頷いた。 「そうだよ。僕がいるからさ、安心してよ」 「ありがとう、圭太。頼りにしてるわね」 「うん」  圭太の返事は、自分自身への決意でもあった。  ただ、確かに母親のためもあるが、新宿から離れれば瑠季のことを思い出さずに済むと思うからというのもあった。 母親の看病をしながら新しく仕事も始め、忙しい最中に新宿の部屋も引き払い取り敢えず全てを地元に戻した。 暇もないし忘れるつもりでいるため、琉季には連絡をしていない。 彼とのメールのトークルームは削除した。 色々なことをやり取りしたけれど、思い出も捨てようかと思ったのだ。 けど、どうしてもブロックだけはできなかった。

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