48 / 63

第48話

初めて入ったVIPルームは、広めになっていて長いソファーは通常の席より高級感があり、一旦座ってしまえば立ちたくなくなりそうなくらいに座り心地が良い。  ヘルプも入れないようにしているため、瑠季と2人きりの場は余計に心拍数が上がる。 「で、お前何で今日来たの?」 「写真見て、無性に会いたくなったから……」  テレを隠しながら俯き答える。 「そか。それは嬉しい」 「なんか、また今年も一緒に花火見たいって言ってくれてるような気がして……」  死ぬほど恥ずかしいけれど、本心を紡いだ。 「なんだ、良かった。真意が伝わったんだな」 「え?」  圭太は目を丸くした。てっきり、『バッカじゃねぇの?』などと一笑に付されると覚悟していたから。 「その通りだよ。お前のことが忘れられなくて、戻って来て欲しかったから」 「瑠季さん……嬉しいけど、僕は地元で仕事あるし簡単にはいかないよ」 「何で、俺がここまでしてるか分かるか?」 「え、売り上げのためでしょう?」 「確かに、売り上げになればそれは良いけど、そんなのは関係ない。どうでも良い奴のために動かないし」 「つまり、どういうこと?」  キョトンとしている圭太に、瑠季は痺れを切らした。 「あ〜、もう!鈍い奴だな。お前が好きだって言ってるんだよ!」 「瑠季さん……?」  なかなか現実味が湧かない。 「俺、この仕事してるけどさ、ほんとだ。お前が離れてから、お前のこと頭から離れなかった。いつも考えてたよ、どうしてるのかって」  知らず、圭太の瞳から涙が溢れた。 「何で俺から離れた?もう離れるなよ。頼むから」  瑠季が抱きしめる。

ともだちにシェアしよう!