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第49話

「僕も、瑠季さんが大好きだよ。大好き過ぎて、苦しくて離れたんだ。僕はお客さん以上にはなれないんだと思ったから」 「良く聞け。お前はお客さんではあるけど、俺はそんなこと関係なく、お前を1人の男として見てる。ずっと一緒にいたいし、離したくない」  圭太は瑠季を抱き返していた手に力を込めた。 「ありがとう。僕も、瑠季さんの傍にいたい」 「俺さ、来年ホスト上がるつもりだから。それまで、耐えてくれるか?」 「……うん。エースはできないかもしれないけど、瑠季さんを支えたい」  スッと身体が離れて、見つめ合ったかと思ったら、お互いの唇が触れた。 「また戻ってきてくれるか?」 「もちろん。でも、今の仕事続けたままでもいいかな。母さんのこともあるし」 「良いよ。お前を失うよりよっぽどマシ」  顔に両手を添えて、再度キスをする。  やはり、自分は瑠季がいなければ生きていけない。そう思った。 地元に戻ってから、知らんぷりを決め込んでいたのは、この瑠季が抜けた心の穴のことだったのだ。   それからは、介護の仕事や家のことの支障にならない程度に瑠季の店に通った。  大抵は終電で帰るようにしているが、たまに新宿に泊まっている。 長く瑠季といたいから。  今の仕事だと、以前よりもお金をかけられなくなったが、瑠季は会えるだけで良いと言ってくれるし、泊まる時には、わざわざ来てくれてるからとホテル代を払ってくれる。 その時は2人で一緒に泊まるのだ。  夏になり、瑠季に昨年行った花火大会に誘われた。 この日は、彼は本当は仕事なのだったけど、圭太といたいからということで休みをとってくれたらしい。

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