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第50話
去年の様に、河川敷に並んで座る。何て幸せな時間なのだろうと、圭太は喜びを噛み締めた。
離れた時は、こんな日が2度と来るとは思っていなかったなら、自分がこんなに幸せで良いのだろうかとさえ思う。
「また来られて良かった……」
圭太がポツリと呟く。
「あぁ」
琉季も、こちらを見て微笑んでくれたようだ。
花火が始まるまで何時間も待ったけれど、楽しすぎて花火が終了するまでもあっという間のような気がした。
「ねぇ。僕たちの関係って、付き合ってるのかな」
花火の後で入ったレストランで、唐突に聞いてみた。
すると、琉季は目を丸くする。
「え、違うのか?まぁ、お前には俺のラストまで寂しい思いをさせるかもしれないけれどさ、俺にはお前しかいないから、不安になる必要ないぞ」
「本当?信じていいの?」
まだ何となく自信のない圭太は思わず聞いた。
「もちろんだよ。お前、俺のことを信じられないのか?」
「い、いや、そんなこと……」
「大丈夫だ。安心しろよ」
琉季は真摯に言っているようだ。言葉通り、信じて良いだろう。
「よ、良かった。ありがとう」
圭太は顔を真っ赤にしてビールに口を付けた。
「あ、そうだ。付き合ってっていう話はまだしてないよね」
「そんなの必要なのか」
「ちゃんと、ケジメというか。はっきりさせたいんだよね」
ポリポリと頬を掻き、ひと呼吸おいてから琉季が口を開いた。
「つ、付き合ってくれ。俺と」
「……よろしくお願いします。ありがとう、琉季さん」
ちゃんと言葉で聞けただけでも、圭太は幸せに思う。
「これからも、ずっとよろしくな」
“ずっと”という言葉が嬉しい。
向かい合わせで座っていた琉季が、腕を伸ばしてわしゃわしゃと圭太の髪を撫でた。
「うん」
圭太ははにかみながら笑みを向けた。
「でも、いつから僕のこと好きでいてくれたの?」
「何だ。今日はやけに喋るんだな、お前」
琉季が可笑しそうに笑う。
「べ、別にいいでしょ……」
圭太は顔を真っ赤にした。
「あー?それは後で教える」
「え、何で?別に今でもいいでしょ?」
「何でもだよ。後で、落ち着いてからちゃんと教えてやるから待ってろよ」
「分かったよ」
すぐに教えてもらえず、圭太はしゅんとしてしまう。
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