61 / 63

第61話

 一週間後、琉季と圭太は自宅のソファーで寄り添いながらくつろいでいた。 ホストを上がってからは、琉季は時間があるので家のことを率先してやってくれている。今後については、色々と考えているようだ。 「ねぇ琉季さん」  ゴロゴロと猫のようにくっつきながらそう話しかけたら、琉季に渋い顔をされた。 「お前、その呼び方もうやめろって」  確かに、既に琉季ではないのだしこの呼び方で呼ぶのも変化もしれない。 「何か、これの方が慣れちゃって。ごめんね」 「謝らなくてもいいけど。呼んでくれよ、俺の名前」 「康二さん……」  まだまだ呼び慣れないその名前を口にした途端に、恥ずかしさが込み上げてくる。 「何だよ?」  琉季はニヤニヤしてこちらを見てきた。 「考えたんだけど、バーとかやる手段もあるよね」  呟くように言うと、瑠季は目を瞬かせた。 「バーか……実は俺も、それは考えてたんだよな」 「あ、そうなの?」 「あぁ。ホスト辞めてからバーやる人多いし、俺の仲良かった先輩もバーやってるから、色々話聞いてたんだ」 「そうなんだ。康二さんバーテン姿似合いそう」 「だろ?俺、酒には詳しいしな」  ウインクをする瑠季に、圭太はクスっと小さく笑った。 「確かにね」  圭太が頷くと、身体を持ち上げられて瑠季の左膝に向き合う形で座らせられる。 「こ、康二さん」  この態勢が恥ずかしい。

ともだちにシェアしよう!