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第2話

そして僕がすぐりくんの親衛隊隊員になってから、早くも1年が過ぎた。 親衛隊隊員を務めてみて分かったが、すぐりくんはとても魅力的なひとだった。 次期会長候補と言われるだけあって、論理的で冷静に物事を判断できる賢さがあるし、頭脳と見た目に引けを取らない情熱と思いやりもある。優しい微笑みで見つめられると心が癒された。 すぐりくんの人気の高さにも頷ける。それでも、僕の1番がふじくんであることは変わらなかった。 少し粗野に見えて実は周囲をよく観察しているところや、いつだって誰にだって対等に向き合うところ。 すぐりくんを側で支える姿を見ていれば、毎回のように新しい魅力に気がついた。 好きになっていく度に彼と僕の教養の違いを思い知ったし、だからこそ努力したいと思えるようになった。 テーブルマナーも言葉遣いも、学業やすぐりくんの執務室の支度もこの1年で随分きちんとこなせるようになった。 それでもふじくんの真っ直ぐな目で見られると、なにかダメな部分があったような気がして強ばってしまう。 他の隊員たちや先輩にもマナーのなさを笑われたり、からかわれたりしたが、どれも愛ある指摘だとは分かっている。 ただ、どうしようもなく落ち込んでしまう日があって、そんな日にふじくんと会ったりすると、もうダメだった。 そんな時にはすぐに目をそらしてしまうんだ。そして漂わせた視線の先にすぐりくんの笑顔を見つけて癒される。悪い癖が付いてしまった。 ふじくんに恋情を告げる日なんてきっと来ないだろうが、思っていることすら止めてしまいたくなるほど、大好きなふじくんから離れてしまいたくなるほど、辛くてたまらない日があった。 だから、すぐりくんから親衛隊の学期MVPに選ばれたときは、それまでの努力が認められた気がして、嬉しくてたまらなかった。 僕も入隊して初めて知ったのだが、親衛隊にはMVP制度が存在して、各学期に1人、春夏冬の長期休みまえに発表される。 MVPに選ばれた人物は休み前夜に、部屋の掃除の手伝いと称してすぐりくんと共に過ごせることになっている。 他の親衛隊では親衛対象に身体を捧げるんだとまことしやかに噂になっているが、すぐりくんに限ってそれはないと、入隊した当時から聞かされていた。 僕も純粋にMVPに選ばれたことが嬉しかった。ふじくんの近しい弟であるすぐりくんに認められて、ふじくんとも対等でいられる気がしていた。 もしも、本当にもしも、いい機会があったならいつかふじくんに思いを告げてもいいかもしれないと思ったりもした。 けれどあの夜、あんなことになって、そう思った自分をひどく悔やんだ。

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