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第4話

その日の夜中の事だ。午前2時ころ。 小さく響くラップ音。 また、おかしな現象が起こり始める…… ああ……やだなぁ……また眠れないのか…… 金縛りはいつものことだけど、寝不足が続いていた。 最近眠れない原因は他にある。 あああぁ…… すでに両手首を強い力で掴まれて、はだけた鎖骨の辺りに冷たい金属が向けられていた。 痛っ…… 日に日に度が増していく怪奇現象…… しかしどうすることも出来ないので、されるがまま。 ……そろそろ僕……殺されるのかな……それは避けたいんだけど。 痛みに耐えながら、そんなことをボーッと考えている時…… 「おい」 !!! 突然声がかかったと同時に、全身の金縛りが一瞬で解けた。 はっと目を開けると、僕の顔を覗きこむように日中出会ったあの泥棒男がいた。 「……お前……」 「おい!……本物をだせ」 「え?」 「まさか石が偽物だとか……ふざけるなよガキ」 「……」 「……?何だこれ………この傷……自分でやったのか?」 「違うよ」 知らないうちに腹まではだけたパジャマから覗く僕の胸には、無数の切り傷があり血が滲んでいた。 「……っ……最近よく金縛りに合うんだけど、その時に何かに襲われるんだ」 「……最近……そうか」 「お目当ての石じゃなかったら……返せよ。………あの石以外、うちにはないからな」 「……さい」 「え?」 「う、うるさいっ!!!!」 イライラした様子の男は叫び勢いよく僕を押し倒すと、馬乗りになってギリギリと首を絞める。 !!!!! か、顔がマジだ……ヤバ……兄ちゃ…… 男の瞳が赤く……燃えていた…… 意識が……遠退く…… …… …… バタリ ? っ!!ゴホ!ゴホ!あ、あれ? 完全僕死んだと思ったんだけど、生きてる…な、何が起こった? つか、重いっ! 首を絞めていた男は仰向けの僕に重なったまま意識を失っていた。

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