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第6話

男はため息をつき、諦めたように弱々しく語り始めた。 「あの白い石は俺のだ。本来俺の元にくる予定だった。普通の石に見えるけど、ただの石ころじゃない。大切な神の石。ツキシロという……それを俺に届ける途中馬鹿な使い魔があれを海に落としてしまった」 「ツキシロ……」 「あれがないと俺は本当に困る。焦って何年もありとあらゆる所を探したけど……みつからなかった」 はぁ……眉間にシワをよせ、辛そうに深いため息を男を吐く。 男と言っても、見た目は僕と同じくらいの年だし、普通の人間と変わらない少年だ。 「でも最近になって……その使い魔が突然やって来て、サクという少年に石を渡したことを知らせに来た」 「え」 「使い魔は……サクが飼っていたネズミだよ」 「えええええええ!!!?」 ……叫んだのは兄だ……うるさっ! 「紗久!ハム太……あれどこからどうみても可愛いハムスターだったよね!?ハム太がハムスターじゃない?だ、だから10年も生きたのか?」 「……友達がハムスターの寿命は3年って言ってたけど……嘘じゃなかったのか……」 「猫又みたいにいつしっぽが二股にわれてもおかしくないてか思っていたけど……元からハム太は化け物だったってことか……」 石を拾ったのと同時期にうちで飼うことになった真っ白いハムスター。 ペットショップで父が買って来てくれたんだ。 「ネズミの話に興味はない……石を返せ。お前が……持っていると言っていた……ぞ」 「……」 「そ、そうなのか?紗久……」 「……」 「……」 「……あれ?」 「こいつ……寝た?」 つんけんしていた男は意識を失うようにそのままそこで横になり寝てしまった。 ……マジかよ。 「……んーこの子顔色悪いね。まだ夜中だし彼具合もよくなさそうだから、このまま寝かせてあげなさい。ふわぁ……俺も寝るわ~紗久も寝なさい」 「え?ここでこいつ寝かせるの嫌だよ!こいつ化け物だぞ」 「そんなこと言って……病人を動かすのも可哀想じゃないか。それと石を持っているならちゃんと返してあげなさい。彼は必死で本当に困っているみたいだよ。じゃ、おやすみ~大丈夫大丈夫」 根拠のない大丈夫なんて信用ならない! 僕の気持ちも知らないで! こいつが化け物だってこと忘れてるだろ! ちらりと寝ている男をみると寝てはいるが顔色は良くなく……本当に辛そうに眉間にシワをよせていた。 …… ……う…… ったく……仕方ないな…… 小さなテーブルをずらして、僕の布団に引きずり寝かせてやった。 辛そうな表情は人間そのもので、見ていると心配になってくる。 額に手を当てると汗をかいていて驚くほど冷たかった。 掛け布団をかけてやり明かりを消す。 暗闇の中、体育座りをして自分胸の傷に手を当てる…… はぁ……夜の闇は不思議と落ち着く。 最近は睡眠を邪魔されてあれだけど……夜は好きだ。 石……本物の石がどこにあるか僕は知っている。 …… ……

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