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第7話

ハム太が普通のハムスターでないことは知っていた。 これは……兄ちゃんには秘密だ。 6歳の時に海で死にかけていた僕を救ってくれたのは、実は使い魔とあの白い石だ。 当時海岸沿いに歩いて行ける洞窟あり、そこであの石を拾った。 少し青みがかっていて滑らかな美しい白い石…幼心に心引かれ、まるで卵を温めるように握りしめたのを覚えている。 しかし潮が満潮になるのに気がつかなくて、洞窟内に閉じ込められてしまった。 押し寄せる海水は冷たく、息ができるか出来ないかの瀬戸際で、冷たい波にさらわれないよう岩にしがみつくのがやっとだった。 暗闇の洞窟内に響く波の轟音が凄まじく、恐怖でしかなかった。 何度うねる波に引きずり込まれそうになったことか。 ……っ怖いよ! お父さん!お兄ちゃん!助けて!! 必死にそう願った。 我慢ならいくらでもするが、恐怖で心が押し潰されそうだった。怖い!怖いよ! しかしそんな恐怖の中でも僕は石を離さなかった。 それだけ僕は石に魅力されていたのだ。 そしていつしかプツリと意識が切れる狭間の中で、切実なやり取りを謎の声の者とした。 それが使い魔だった。 やり取りというか取り引きだ。 何故使い魔がボロのように死にかけの子供と取り引きをしたのかはわからない。 使い魔は石を守っていると言っていた。 実際に覚えているのはここまでで後の記憶はなく…意識が戻ったのは病院のベッドの上だった。 現実なのか夢なのかはっきりしない記憶だけど、確かに取り引きは成立していた。 …… 当時6歳のガキがその時必死に願ったお願いだ。 契約の条件を今も僕は守っている。 その時からハム太…使い魔…と一緒に暮らしていた。

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