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第9話
あれ……朝……?
カーテンの隙間から、柔らかな日が射し込んでいた。
気がついたらぐっすり寝ていたようだ。
仰向けのまま見なれた天井をボーッと眺める。
……
何か、
久しぶりによく寝た……?
考えてみたら毎日起きていた金縛りも、怪奇現象も起きていない。
こんな日もあるのか。珍しいな……何で……
あ……
ガバッと起き上がり、男が寝ているだろう自分の布団を確認する。
「起きたか……」
「!」
そこには布団の上であぐらをかき、僕を凝視している男がいた。
「サク、おはよう……よく寝てたね……」
「あ、お、おはよう……具合どう?」
「ん、ちょっとはマシに……なってない……な。飯なんて気休めだから……」
……そう………顔色は悪そうだ…
……
「ねぇ、僕が金縛りにならないのはお前のせい?」
「……そうかもしれない……程度の低いやつらは、俺に近ちかづけないからな……」
「……そう……」
男の顔を改めてみつめた。
黒い瞳は真っ直ぐ僕を見つめていて、互いの視線が絡む。
深い闇のように暗い瞳だ。
肩までかかる闇夜のような黒髪が、彼の整った顔を包み込んでいた。
色々知りたい……これは単なる好奇心だ。
「具合が悪いのは、石と関係……あるの?」
「……」
「それと君の名前教えて。そしたら石……返すよ」
「……」
「……」
「……はぁ……わかった……仕方ない。サクこっち来て……」
布団の上で二人並んであぐらをかいた。
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