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第16話

そんなこんなで… 奇妙な居候が一人増えてしまった。 正直不満である… 不満はあるけど僕が嫌だって言っても既に決定していることを変えることは無理な訳で… マジ… マジかぁ… 「伎乃くんはここの部屋を使って」 「はい」 「じゃ、俺夕飯の準備するから紗久は伎乃くんに風呂場とか色々教えてやってね」 「はーい」 忙しそうに兄ちゃんはキッチンに消えていった。今夜から3人分の食事か。聞いたら補助金…本当にいい額で最終的にこれで僕は落ちてしまった。あはは…この世はやっぱり金だね…なんてな! 「紗久…久しぶりだね」 「…伎乃本当は何歳なんだよ…」 「え、前は500まで生きてたけど…人になってからは現在17歳」 「前って…」 「あーー…前世?みたいなものと思ってくれていいよ」 伎乃はネクタイをしゅるしゅる外しながら答える。 「よ、よくまたこの家に上がって来れたな」 「え、駄目だった?」 「僕にあんなこと…して!マジお前っ!」 「あー…あーあれか…可愛かったよねーあの時の紗久…ちょっと悪戯しちゃってごめん」 「ちょっと?いっ悪戯ですむかっ!」 「だって…紗久のこと気に入っちゃったんだから仕方ないだろ?」 両肩に腕を伸ばされ目の前には伎乃の顔。黒髪に黒い瞳…整った顔は綺麗で妖しい。 「上司に駄々こねてここにしてもらったんだ。紗久に会いたくて…」 「…へー凄い迷惑…」 「…うわぁ…酷い」 伎乃の腕からするり逃れる。 「まぁね…もう僕にあんなことしないで」 「はいはい」 「はい は一回!」 「…はーい」 ガタン!!! 「うっわぁあ!?」 大きな音が急に外からしてめっちゃ驚いた。その拍子でうっかり隣にいた伎乃に抱き着いてしまった。自分の咄嗟の行動が恥ずかしくて直ぐに伎乃から離れるんだけど…なんだよ今の音… 「…な、なに」 「…ベランダ…からだけど…」 伎乃が窓を開けて外を…ベランダを確認してくれた。 「ん、あーこれかな?これが室外機からたぶん落ちたんだ」 伎乃は洗濯籠を抱えていた。そっか…洗濯物取り込んだ時に外に出しっぱなしにしてたんだ… 窓からは風が勢いよく吹き込んできていて夕方よりも風が強くなってきてることがわかった。 日中あんなにいい天気だったのに風は湿気を含んでいて少しヒンヤリとしていた。 「…抱き着いちゃうくらい怖がり…だったんだね紗久って…」 「!」 ふわりと頭を撫でられた。 「石との契約が切れて今のが本当の紗久ってことだよね?こんなにビビりだったんだ。もしかして夜もお化けが怖くて眠れないとか…ある?」 「そ、そんなこと…あるわけないだろ」 「ふーん…それは平気…なんだぁ」 伎乃の顔は完全に僕のことを面白がってニヤニヤしていた。物怖じしない奴が実は怖がりでちょっとした物音にもビクビクしてる…そんな姿を楽しんでいるんだろう… 「もしも怖くて眠れなくなったらいつでも俺のとこ来ていいからね?」 「だ、だからっ!大丈夫だって言ってるだろっ!」 こ、こいつムカつく!

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