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第17話サク*

* 紗久という少年は艶々した黒髪に大きな黒い瞳が印象的な綺麗な少年だった。 肌の色は白く身体は華奢で細い。 日陰に儚くうつ向きながら咲く白い花のようだった。 少し脅せば怯えながらツキシロのことを喋るだろう…そう思った。 しかし化け物に変じて脅かしてみたけど反応がかなり薄く…淡々としていて拍子抜けした。そのままの姿でサクに触れるとツキシロの結界の効果がまだ有効なのかズブズブと火傷してしまう始末。 …汚ねぇ手で触んじゃねぇ… そう言われているようだった。 石がなくなってから10年…余裕でみつかると思っていたらみつかりやしない…この数ヶ月は死にそうなくらい必死で探した。 使い魔の体力も石に結界をはるので限界だったようで居場所を報せることも難しかったようだ。 まさかこの少年が俺の使い魔…石と契約を交わしていたとは… 純粋で強い意志がないと出来ない事だ。ましてや他人の石と契約なんて聞いたことがない。 初めもう会うこともないだろうと思っていたのに… 不覚にも石に気に入られた美しいこの少年に興味を持ってしまった。 実際の彼は素直じゃなく無愛想で儚くも何ともない…生意気な奴だった。 目を覚ますと俺は布団の中にいた。 寝床に入らず床に転がって熟睡している紗久の姿はずっと眺めていても飽きない…それくらいの愛らしさがあった。 規則正しい呼吸…あどけない寝顔に微かに色気が漂う…それを探している自分に気がつきふと我に帰った… 死にかけてんのに…何してんだ俺は… やっとツキシロを手に入れたあの時…勢い余ってつい紗久に手を出してしまった。 誰にも触られたことがないだろう白い肌…胸の傷が忌々しく邪魔で…思わず治してしまった。見たかった紗久の怯えた表情…頬を染めて恥じらう表情は艶めいて可愛げがあった。 煽られているようで気持ちが暴走しかけてしまった。 しかしそのままセックスができるわけでもなく…中途半端にして消えるしかなかった。 でもあの時マジ戻らなかったら俺殺処分になってたかもしれない。 面倒くさい上司の顔を思い浮かべる。 我儘を言って無理やりこの家を拠点として活動できるようになったのはラッキーだった。 やることは色々あるけれど、 三橋紗久 物怖じしないクールな子かと思ったけど、素は怖がりの臆病者だったとはね。 もっと怖がらせてやりたい。 今はこいつに興味がある。

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