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第18話ガッコウ

僕の部屋は畳の和室だ。 兄ちゃんの洋室にはベッドがあるけど、僕は布団を敷いて寝ている。ベッドよりも布団の方が落ち着くんだよね。 ん… 目を開けると辺りが薄明かりなので朝だということがわかる。枕元のスマホで時間を確認すると5時だった。 …よく寝たー カーテンを開けようと起き上がろうとすると… 後ろからぐいと手が伸びてきて引っ張られた。 「…まだ眠い」 !!! ちょ、何故か伎乃が僕の布団で寝ているではないか!い、いつの間に!!! 引っ張られ再び布団の中に戻されて僕は伎乃の抱き枕状態になっている。 むにゃむにゃしてるけど手が僕の身体のあちこちを触りまくっている。伎乃の吐息が耳にかかり触られると嫌でも前回されたことが脳裏を過り胸がドキドキしてしまう。 スルリと手がパジャマの中に入ってきたので、 「っ!こら!!!」 「いっっ!!!」 バシィ!っとおでこを殴ってやった。 「紗久痛い!酷い!!」 「酷いじゃねー!伎乃は自分の部屋で寝ろ!」 「えー折角親交を深めようと思って夜中にこっそりこっち来たのにつまんないんだけど」 「つまんないじゃない!」 「俺たちさぁ…これからもっと仲良くなれると思うよ?一つ屋根の下だし」 ニヤっと顔を近づけ囁かれる…その口元は赤く色っぽい。 …見ないように視線をそらす。 「知らん!顔洗って制服に着替えて」 えー!とかわぁわぁ抗議する伎乃を無視しておく。 無視するに限るな…うん。 しかしこれがこれから毎日続くのかと思うと頭が痛い。 くそ…胸の心拍数が早くてイライラする。 ******* 今日から伎乃は僕と同じ学校に通う…当然僕と一緒に登校することになるんだけど… 「…その制服は本当の制服だよね?」 「勿論、学校指定の本物の制服だよ。ああいう即席で作ることは普段しないから」 「…そうなの?」 「無駄な体力使うしあんまり使っちゃいけないんだよ」 歩きながら先日コンビニの駐車場で初めて伎乃と会った時のことを思い出していた。不思議な力で胸のリボンが生き物のように動いていた… 変な力…あれは人の力じゃない… 「紗久ー!おはよう」 聞き慣れた声が聞こえ振り返ると、要がこちらに駆け寄って来る。 「要、おはようー」 「…?誰」 隣を歩く伎乃を見て当然の反応。 「今日からうちの学校に通う転入生。…ついでにうちに暫く居候してるんだ…」 「…」 「二年、吉川伎乃でーす」 「…こいつの友達の湯浅要です。居候って何?親戚?」 「え、あーそうそう!遠い親戚!」 「ふーん、そうなんだ…ちょっとイケメンじゃん」 要はじろじろ伎乃のことを眺めてたけど、伎乃の反応は薄い。 「じゃ、俺職員室行くからー」 「あ、おう」 学校に着くなり伎乃はさっさと行ってしまった。 何か素っ気ないな…まぁいいけど…

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