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第25話オカエリ

あ、ヤバい…顔が顔が熱い。 どうしたらいいのかわからなくて歩く足が止まってしまった。 微笑んだ伎乃に手を握られマンションのエレベータに乗り込む。 平静を保ちたくても心臓の音がドキドキうるさくて保つことができずにいる。 好きだって言われた。キスは冗談じゃないと… 思い切り怒ってやろうと思っていたのに。 あのまま放課後まっすぐ帰宅できたら…そう伎乃にスゴく怒っていただろう。 しかし予期せぬ出来事のおかげで急に伎乃の存在が大きくなってしまった。 … 伎乃の腕の中は心地がよく安心できた。 胸の鼓動が自分のとシンクロして癒されるようだったんだ。 「こ、こんな時…どうしたらいいかわからない」 声を振り絞る… 「ぷ、何?告られるの慣れてるんじゃないの?」 「…な、慣れてなんかっ!」 「ほら、着いたぞ」 エレベータの扉が開く。 手を振りほどくこともできずにそのまま手をひかれ自宅に…もう兄ちゃんは帰ってる頃だろうな。 「おっかえりー!!」 予想通り無邪気な笑顔でエプロン姿の兄ちゃんが迎えてくれた。 「「ただいまー」」 「伎乃くん、学校どうだったー!?」 「はい、紗久とクラスが同じだったんでホッとしました。クラスメイトも優しかったんで楽しいです」 「おー!紗久と同じクラスか!じゃ、困ることあってもすぐ聞けるしよかったな!二人とも早く着替えておいで」 晩御飯のいい匂いが漂う。今夜はハンバーグらしい。 「兄ちゃんチーズのっけてね」 「はいはい!」 美味しそうな匂いと能天気な兄のほのぼのした雰囲気にほっとしたのもつかの間。 ぐぃいと伎乃に腕を引っ張れ伎乃の部屋に連れ込まれてしまった。 「!」 「声出しちゃ駄目」 !!! ドアが閉まると同時にそう言葉を投げられあっという間に唇が重なる。 息が詰まるほどに押し当てられた唇はひどく熱い。 「は…」 強く抱きしめられ逃げることもできなく突然のキスに頭が真っ白になった。 角度が変わり舌が口内に滑り込むとゾクリと身体が反応する。 ああ…何これ…胸が高鳴り身体から力が抜けていく… 無意識に伎乃の背中に腕を回すとお互いの身体が重なり隙間がなくなるくらい抱きしめ合っていた。 くちゅりと水音が零れ唾液が溢れる。 舌が絡まるほどに背中がぞわぞわしておかしくなるくらい気持ちがいい。 「は…ん…ん」 キスで怒っていたことも忘れて夢中に舌を絡めた。もっと欲しくて息をするのもおっくなくらい。 駄目…足りない…もっと… 漏れる吐息さえも惜しくてとまらない。 貪るように口内を侵した唇が名残惜しそうに離れ銀糸がのびる。 「は、はぁ…はぁ…」 「…紗久…キスうまいな…はじめてじゃない?」 「はぁ?は、はじめてに…決まってる…だろ…」 「そか…ヤバい嬉しい…もっとしたい」 「…兄ちゃん…待ってる…」 「…」 「」 当然の様に再び唇が重なり…二人の吐息が一つになる。 止まらない。

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