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第26話ジコケンオ

… チーズハンバーグの…味が… よくわからないくらい今… 自己嫌悪中… ああああああ… さっき僕は…目の前で美味しそうにハンバーグを頬張っているこいつと、我を忘れてめちゃくちゃキスをしてしまった… い、言い訳ができないくらい自分も伎乃に抱き着いてキスを求めてしまった訳で… 軽いキスとかじゃなく濃いやつ…き、気持ち良かった… スゲー…した… ああああ!! うぁ…僕はっ何をしてしまったんだ…! 「さっくー?…食べてる?」 「わぁ!!な、何っ!?」 「ハンバーグ…いまいちか?」 隣で不安そうにしている兄ちゃん。大人のクセにしょんぼり具合がガキみたいだ。 「ん、美味しい!勿論!」 正直あんまり味わからなかったけど、兄ちゃんのせいではないので精一杯旨そうに食って見せた。 「そうか!良かった」 「本当、美味しいですよ」 目の前でパクパク食べる伎乃は機嫌が良くへらへら笑っていた。 …美味しそうに食いやがって。 僕の顔は引きつってるはず… 「紗久、ハンバーグいらないなら俺食うけど…」 「!だ、駄目に決まってるだろっ」 いつもより味わえない夕食を無理やり胃に押し込んだ。早く食べ終えて自分の部屋に戻ろう。 「あ、伎乃くんの荷物届いてたでしょ?荷物ってあれだけなの?」 「はい、そうです」 「そっか、何か必要なものあったら遠慮なく言ってね?」 「はい。有り難うございます」 「ごちそうさまでしたー!」 自分の食器を下げてさっさと部屋に戻った。 「はぁぁああぁああ…」 今日一番の溜息だ。 髪の毛を両手でぐしゃぐしゃとかき混ぜ畳の上に転がる。 駄目だ… 駄目だ… ずっと動揺しっぱなしで心が…痛い。 ドキドキが止まらない。 …男同士でキスしてどうすんだよ… 伎乃は化け物だけど男だ。 僕も男だ… 化け物は男女関係ないのか? こだわらないのか? わからない!! キスめっちゃしてなんだけどっ! この気持ちって…やっぱりあれなのか? 伎乃の事…好きなのか? … はぁ?おいおい! 自分っ!何言ってっ!?? … …て …マジ…で? 「うあぁ…」 わかってることをわかりたくなくて認めたくなくて…自分の気持ちと葛藤する。 今なら謎の化け物にバクバク喰われて死んでもいい… こんなことで悩んでる自分が嫌だ! 落ち着け紗久! 今日は色々あったから脳みそがついていかないんだ。 落ち着こう。 落ち着こう… そう…落ちつ…こ …おちつ… … … スャァ… コンコン… ガラ 「おい、紗久早く風呂入れだってー…ってまたこんなとこで寝て…」 「…」 「…やれやれ。襲って欲しいのかな…こいつは」 頬を撫でられ…唇にあたたかいものが触れる… 「…早く自覚しろ…バカ」 身体がふわりと浮いた気がした…

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