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第27話クラヤミ

… ン 寝てた… 12時過ぎか… あれ…布団…敷いたっけかな? ふぁあ…風呂入ろう… ぼーっとしながら風呂場に向かいシャワーを浴びる。 もう兄ちゃんも伎乃も寝たかな…家の中は静かだ。 今日は色々あって本当疲れた… 温かい湯が気持ちいい… バスタオルで濡れた髪をふきながらキッチンで水を飲む。喉が乾いていたのかやたら美味しく感じた。 …ハンバーグ…勿体ないことしたな…今なら美味しく食べられそうなんだけど。 「ふぅ…」 少し気持ちが落ち着いた… 伎乃の部屋もあかりは消えているようだからもうきっと寝ているんだろう。 伎乃も今日は疲れたよなぁ…新しい生活に新しい学校。奇妙な出来事まであったし… 化け物であり人であり…変な奴だと思う。 キッチンの明かりを消すと暗い闇が戻る…静寂。 伎乃がこの家にいるせいか、おかしな現象が起こることがない。 ビビりになっても夜の闇が落ち着くのは変わらなかった。 暗い廊下をペタペタ歩きひとつの部屋をそっと開ける…そこにベッドで横になり眠っている伎乃の姿が見えた。 横向きに眠っている寝顔を眺める。瞳は柔らかな黒髪がかかってよく見えない…形のよい鼻と薄くて赤い唇… 夢中でしたキスは…熱かった… したかったんだ…抱きしめられているような安心感と高揚感がたまらなかった。 伎乃のこと… 冷静になって考えてみれば答えはすぐ出た。 … だからといってそれを素直に表現できる器用さは持ち合わせていない。 僕はひねくれてるし臆病だから… そういう性格なんだからしたかないじゃん。 小さくため息をついて部屋をそっと出る… … え 手首を掴まれ… ! と思った瞬間引き込まれる身体がベッドに沈む。 音もなく闇の中に包まれたような気がした。目の前には好奇の眼差しに満ちた黒い瞳。 「何もしないで出ていくとか…信じらんない」 「お…起きて…」 「寝てたよ。気配で気づいた…ん、いい匂い…風呂…入ったのか」 「…うん」 「どうした…怖くなった?…眠れない?」 「…」 「…」 「あの…」 「ん…」 「もっかい…抱きしめて…」 「…いいよ…」 おでこを撫でられ…濡れた前髪を指ですかれる。 伎乃腕に包まれ優しく抱きしめられた…やっぱりこの温もりは僕の心を溶かしていく… 「キス…」 「…」 黒い瞳が揺らめいた気がした…すぐに要望したものが瞼に頬に…唇に降ってくる。 唇を舐められチュっとリップ音が響く。すぐに舌が口内に侵入し僕の舌に絡みついた。 僕を抱きしめていた腕に力が入り手が背中から腰をなぞる。もう片方の手で顎を固定されより深いキスに導いていく… 「……ん」 カチリと互いの歯が当たる…暗闇に響く小さな水音は次第に脳をおかしくさせていく。 やっぱり…気持ちがいい…興奮してるんだ僕は… 伎乃にしがみつく。 「あ」 きゅっと胸の突起を摘ままれた。

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