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第30話アイショウ
もう何が何だかわからず、違和感と快楽にただただ枕を抱きしめ耐えていた。
怖い…不安と恥ずかしさで胸が張り裂けそうだ。
排泄するためにあるそこに伎乃の指が侵入し、気がつくと身体が跳ねるような快感に溺れていた。
自分が自分じゃないようだったけれど、伎乃の顔を見た途端に心に込み上げてくるものがあり恐怖が薄れていくのがわかった。
自分にこんなことをしてと思う怒りや恐怖よりも違うもの…
遠慮もなく感情を剝き出しになった伎乃はなぜか魅力的で美しいと思ってしまった。
耐えられずに思い切り肩に噛みついてしまい、そこから血が滲んでいる…
ドクドクというこの感覚…
自分も…イってしまった…脱力感…そしてもう色々…痛い気がする…
強く強く抱きしめられる。
「はぁ…はぁ…やっぱり身体の相性も最高…」
!
カァァァァ
その一言で現実に戻され、余韻に浸る伎乃の顔を両手で思い切りひっぱたいてやった!
「ぶっ!!いって…!」
「こ、このっスケベ!!」
「何だよ!いきなりっ!」
「…恥ずかしいこと言って!そ、そもそもこんなことしたくて来たんじゃないしっ」
「キスして告られた奴の部屋に来ること自体、抱いて下さいって言ってるもんだろ!紗久だって気持ちよさそうに喘いでたじゃん」
「!!そ、それはあんなことされたら…誰だって…ぁ…!」
ぐりと腰を押し当てられた。
そうだった…まだ伎乃のが僕の中に…
「そんなこと言って煽るともっかいしたくなるけど…」
「え!」
「って声大きいから…彩果さん起きるぞ?この状態見られたらどう思うかな…」
「!」
はっと我に返る…そうだった…今は真夜中で隣の部屋には兄ちゃんが寝ている。
怒りで徐々に声が大きくなってしまっていた。ヤバい…二人ともほぼ全裸でシーツは精液で汚れていた。しかもまだあそこで繋がっていて…こんな状況を見られたら兄ちゃん気絶するかも。
「…ちょっと早く…抜いてよ…」
「えーもったいないなぁ」
「…抜けってば」
ずるっと僕の中から出ていく…それだけで敏感になっている身体がヒクついた。
「あぅ…」
「それだけで感じちゃう紗久って可愛いね」
「う、うるさっ!」
ムカついてぱしっと叩く。
「っい!」
!
叩いたそこは僕が噛みついていた肩で赤く血が滲んでいる個所だった。
「あ!ご、ごめん!…これ手当しないと…」
「…大丈夫すぐ治るから。ほら俺化け物だし」
「化け物であって人でもあるだろ。ちゃんと綺麗にしておかないと駄目だよ…ご、ごめん…」
「…そっとシャワー浴びて身体綺麗にしてこよう。俺も紗久もね…」
こっそり風呂場まで行きシャワーを浴びた。
…あそこ綺麗にしてもらうのに!かきだしてもらうのに一苦労だった!!
伎乃の肩の傷も消毒して処置した。内出血もしていて青くなっていた…しっかり歯形がついている…早く治ればいいんだけど。
「だからすぐ治るから」
「うん…」
はがしたシーツはぐるぐる巻きに洗濯籠に押し込んでおいたけど替えのシーツが見つからなくて…
「あーもう最高…紗久の匂い~」
「くっつくなって…」
僕の布団に二人で寝ることになってしまった。
「こうやってると肩の傷もすぐ治るっぽい」
「う…そくさい」
「うそだもの」
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