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第9話
HARU、爛漫☆第5楽章『初めての親子共演』
合唱コンクールも無事に終わり、新聞部に載った春希と俺の写真もちょうど胸の辺りまでだったから俺はホッとしてた。
けど、春翔はめちゃくちゃ不満だったみたいでその記事が掲示板に貼りだされた時は文句タラタラだった。
「春希、春楓にくっつきすぎじゃない?」
「そうかな」
「もう少し離れても良かったと思うよ。最優秀賞の人たちの方が離れてるじゃないか」
「……僕には同じくらいにしか見えないけど」
「お前ら、いい加減にしろ!!」
掲示板の前で、他の人もいるのに言い合いを始めるふたり。
ホント、いつバレてもおかしくねぇよ。
俺の悩みの種はこれだけじゃない。
公演のためにまだ家にいる父親が頼んでないのに毎日送り迎えして、その度に騒ぎになってたりする。
父親に仕事どうなってんだよって言ったけど、そこは何とか大丈夫らしく、普段一緒にいられない分一緒にいたいとかで部活の見学なんかもしてたりして。
スゲー恥ずかしいけど、公演が終わったらしばらく帰って来られないらしいから束の間の親子の時間を大事にしようかな、って思ってるんだ。
その間、春希と春翔との時間が取れてないから少し申し訳ないんだけど。
テスト期間に入り、俺は勉強を教えてもらうを口実に春希んちと春翔んちに行ったりして少しの時間だけど過ごせるようにした。
春翔の母親って実は医者で夜勤や学会でよくいないんだよな。
だから春翔んちに泊まりで遊んだりした事もあったけど、今の関係になってから春翔んちに来たのは初めてだ。
タワーマンションの最上階、眺めの綺麗な家が春翔んちだった。
勉強もするけど、エロい事もする感じで、今日は春翔んちで勉強が終わってから春翔に誘われておっ始めてしまってた。
「はぁ……んんっ、久しぶりの春楓の……すごくいい……ッ……!!」
「んは……ッ、はると、腰振り過ぎ……っ……!!」
春翔はたまに俺に挿れられたくなるらしく、俺も嫌じゃないから少しの前戯の後にすぐ春翔と繋がってた。
俺に臀を向けて善がる春翔。
腰を動かす度にぱちゅっ、ぱちゅっ、という水音がだんだん大きくなっていく。
「はるか……ッ、だいすき……!!」
「うぁ……っ、はるとっ……!!」
その言葉に我慢出来なくなって、俺は春翔の腰を掴んで1番奥で射精してしまう。
「はぁ……ッ、めっちゃ出た気がする……」
春翔のナカから出ると、ソレは白濁とした液体でコーティングされていた。
「大丈夫か?春翔」
「ん……大丈夫……」
四つん這いになっていた春翔が身体をカーペットの上に横たえている。
俺は汚れたところをティッシュで拭くと、春翔の横に寝転んだ。
「あぁ、春楓の……舐めたかったのに……」
俺が下着を履いてるのを見て残念がる春翔。
「また今度でいいだろ?悪ぃけどもう少ししたら親父来るし…」
俺はスマホで時間を確認する。
そう、父親は俺が春翔んちに行くってなっても迎えに来るんだ。
「あぁ、そうだよね。僕も支度しなくちゃ。……あ、父さんから着信入ってる。何だろう」
春翔も起き上がって身なりを整えるとスマホを見て言う。
「ごめん、春楓、今かけてもいい?」
「いいよ、急用だったら困るしな」
「うん、ありがとう」
春翔は咳払いをすると親父さんに電話をかける。
「もしもし、春翔だけど……」
俺、帰る準備をしながら春翔の様子を見ていた。
身なりは整えてるけど、まだほんの少しだけ顔が紅い。
俺よりも色白の春翔だからそれがすごく目立って、何となく色っぽかった。
「えっ?今、春楓と一緒だけど、春楓はこれからお父さんがお迎えに来るよ。お家に行っていいか聞いてみようか?」
「??」
「うん、分かった。じゃあ伝えてもらうね」
何で俺の名前?
って思ってたら、父親から電話がかかってくる。
「はるかー、ついたよー!!」
電話越しでもデカい声。
「分かった、今行く……」
うるさいからすぐに電話を切ったら、
「春楓、ごめん、ちょっとおじさんにお願いしたい事が出来ちゃった」
って春翔が申し訳なさそうな顔をして言い出した。
「親父に?」
「うん、父に頼まれて……」
さっきの電話の事かな、となんとなく察したんだけど、その通りだった。
「春翔くん、いつもうちの春楓がありがとね!!」
「あの、おじさん、相談があるんですけど……」
今行くって言ったのに、玄関まで入ってきた父親に春翔が申し訳なさそうな顔をして話しだす。
「父がおじさんに相談したい事があるらしくて話をしたいそうなんですが、この後父の話をご自宅で聞いていただけませんか?」
「そうなんだ。うん、いいよ。どんな内容なのかな」
「僕も詳しくは聞いていないのですが、おじさんに会いたい人がいるからその事について話をしたいみたいです」
「そっかぁ。じゃあ春翔くんも家においでよ。春翔くん、普段あんまりお父さんに会えないんでしょ?せっかくだからお父さんに会っちゃいなよ」
うちの父親は春翔の親父さんの事を知ってる風で話をしていた。
俺、確かめた事なかったけどおばさん、うちや春希の親に親父さんの事話してたのかな。
こうして、春翔は遠慮してたんだけどうちの父親の押しに負けて一緒に家まで来る事になった。
春翔と一緒に夕飯を食べた後わりとすぐ、春翔の親父さんが家にやって来る。
「初めまして、突然の訪問をご理解いただきありがとうございます。また、息子の春翔がいつもお世話になっております」
「まぁまぁ、堅苦しい挨拶はいいですよ、どうぞお上がり下さい」
「失礼致します」
運転手の人と一緒に来た親父さん。
春翔が事前に電話して、うちの家族が春翔たちの親子関係を知っている事を伝えていたからか、春翔の事を息子だってはっきり言ってた。
うちのリビングに通された親父さんは軽く自己紹介すると、うちの父親に相談したい事を話し始める。
「実は、私の所属する派閥の会長、馳川浩之が政府のホームページ上で子供たちに向けて世界で活躍する日本人という事で黄嶋さんとの対談をしたいと話しておりまして…」
「馳川浩之?」
「今の文部科学大臣よ。最近就任したばかりなんだけどなかなかフットワーク軽い感じで好感度も高いのよ」
分からないという感じの父親に、横に座っていた母親がすかさずフォローする。
俺たちはダイニングテーブルのある席に座り、春翔の親父さんが持ってきてくれたチーズケーキを食べながらその様子を見ていた。
「そうなんだ。いいですよ、ボクでお役に立てるなら。あ、テレビの取材の予定も入ってたからその話題話しておきますか?テレビでも紹介してもらったらもっと沢山の人に見てもらえますよね?」
「は…はい、ありがとうございます。ぜひお願いいたします」
「あ、でも条件つけていいですか?ご招待するから大臣さんにボクの公演を見てもらう事、対談の時には貴方が付き添いでいる事、それと春翔くんとうちの息子を見学させる事。この条件で大丈夫なら引き受けます」
頭を下げてる親父さんに話すうちの父親。
「そ…それは……」
親父さん、驚いた顔をして顔を上げ、うちの父親を見る。
「藍田さん…でしたっけ?ボク、仕事上なかなか息子と一緒にいられないので、どんな仕事をしているのか、その姿をリアルタイムで見せられるなら少しでも多く息子に見せたいと思ってます。貴方も自分が頑張って働いている姿を息子さんに見てもらえるいい機会じゃないですか。春翔くんの事はこっちで何とかしますから、たとえ親子って名乗れなくてもその姿は見せた方がいいと思いますよ。ね、春翔くん、お父さんのお仕事してるところ、見たいよね?」
「あ…僕は…どちらでも……」
いきなり話を振られ、春翔はびっくりした顔で答えていた。
「どちらでもって事はいいって事だよね?」
「え……えーと……」
春翔の目は親父さんの方を見ている。
本当は行きたいのかもしれないけど、親父さんの迷惑になったら困るから答えられないでいるように俺には見えた。
「親父、春翔困ってるぞ、うちとは違うんだから無理強いは…」
「いえ、黄嶋さんの言う通りです。私は父親としてこの子の傍にあまりいられてませんが、少しでもこの子の傍にいたいという気持ちはあります。お心遣い、本当にありがとうございます。馳川に承認してもらえるように最善を尽くしますのでどうぞ宜しくお願い致します」
「父さん……」
うちの父親にそう言った後、春翔の親父さんは立ち上がって春翔の傍に来る。
「春翔、あまり仕事という仕事でもないんだが、一緒に来てくれるか?」
「……うん、父さんが問題ないなら」
親父さんに声をかけられた時の春翔はすごく嬉しそうだった。
……って俺、どさくさに紛れて面倒くせぇ事に巻き込まれてねぇか?
ま、春翔が一緒だからまだいいか。
******************
父親と文部科学大臣との対談は俺たちのテスト最終日、父親のコンサート初演の後にセッティングされた。
春翔は俺の親友でうちの父親のファンという事で父親がゴリ押しして一緒にコンサートや対談を見る事になってた。
コンサートはうちの母親もサプライズで出るらしく、俺は先に出て行った両親を見送った後、春翔と待ち合わせして会場入りしていた。
「はぁ、俺、こういうカッコ、苦手」
俺、母親に髪をセットされ、父親が用意してくれてた真新しい黒のタキシードを着ていたりする。
海外ではこれがスタンダードだからって言われたけど、ここ日本なんだから良くね?って思っちまってた。
「春翔、せっかくおじさんが用意してくれてのにそんな事言っちゃダメだよ」
春翔も親父さんに買ってもらったという俺と同じく黒のタキシードを着ている。
自分でセットしたっていう髪型は大人っぽくてカッコイイし、俺とは違ってスタイルがいいからタキシードもめちゃくちゃ似合ってた。
「親父のコンサート聴くなんて何年ぶりかな」
「小学部の頃じゃない?春希もいて夏休みの自由研究でオーケストラについてまとめて発表したよね」
「あぁ、そんな事もあったな」
父親が用意してくれた席に並んで座ってそんな話をする。
あの時もたまたま日本公演の為に帰国してたからっていうのでコンサートに招待してもらって自由研究の為に色々教えてもらったりしたんだよな。
「春楓、今日は大変そうだけどこうしてふたりで会えて嬉しいよ」
開演前、春翔が俺の膝に手を載せてきて、
「髪型もいつもと違って大人っぽくて今すぐキスしたいくらい…」
って耳元で言うと、俺の手を取って手の甲にキスをしてきた。
「ちょっ…お前…っ…」
物語に出てくる王子様、みたいな。
春翔はそんな感じの事をしてきて、俺はドキッとさせられる。
カッコイイのはお前の方だよ、春翔。
って言おうと思ったけど、調子に乗りそうだったからやめておいた。
開演のブザーが鳴り、幕が上がる。
父親は全員が揃った後に颯爽と入ってきて、深々と一礼した。
「日本の皆さん、こんばんは。今日は御来場いただきありがとうございます。皆さんがまたボクらの演奏を聴きたいと思うような演奏をお届けしますので最後までどうぞお楽しみ下さい」
タキシードにピンマイクがついていたらしく、父親はそう話してから楽団の人たちの方へ向き直る。
一瞬の沈黙の後、父親が手を上げ、曲が始まった。
俺にはその背中しか見る事は出来ないけど、そこから溢れる気迫みたいなのがあって、それはいつもの父親の姿とは全くかけ離れてる。
『春楓、ボクの姿を見て。一瞬たりとも目を離さないで』
そう言われてるような気がして、言われなくても分かってるよって言いたくなった。
「おじさん、やっぱり凄いよね。曲に合わせて色んな世界を見せてくれてる」
「そうだな…」
そこに母親が加わってピアノが入った時、俺はふたりが作り上げてきた世界みたいなのを感じた。
母親の楽しそうにピアノを弾く姿は、見ていてこっちも楽しい気持ちにさせてくれた。
てか俺、ピアノを弾いてる時の顔、母親そっくりだって思っちまったんだけど。
コンサートはあっという間に終わり、アンコールの声がすぐに会場を包んだ。
「ご声援ありがとうございます。それでは1曲だけ。この曲はボクの息子の名前の由来になった、ボクにとって思い入れのある大切な曲です。それでは聴いてください」
それは、『春』というタイトルの交響曲だった。
そこにピアノがアレンジで入ってて、爽やかな春の風を思わせたんだ。
俺が来てるからだよな、親父。
『春楓、ボクらのところに来てくれてありがとう』
って言われた気がして、すごく嬉しかった。
******************
コンサートの後、俺たちは父親と合流して対談する場所のホテルに来ていた。
「初めまして、馳川です。本日は宜しくお願い致します」
「こちらこそ。お会いできて光栄です」
ホテルのレストランを貸し切っての対談の収録。
俺たちは少し離れたところでその様子を見学する事になっていた。
「息子たちを臨席させていただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ急なお願いを聞いていただき、本当に有難い限りです」
父親と馳川さんは握手を交わす。
馳川さん、スポーツか格闘技かやってた?って感じのガッシリした体格で、春希の親父さんみたいな雰囲気だなって思った。
春翔の親父さんはというと、俺らと同じようにカメラに映らない位置でその様子を見ていた。
「父さん…普段はあんな顔して仕事してるんだ…」
それを見た春翔が小声でポツリと言う。
親父さん、緊張というか、気を張ってる感じだ。
「それでは早速ですが、対談を始めさせていただきますね」
司会進行役と名乗った女の人が言った。
テレビで見た事のあるアナウンサー。
父が今日の対談の話を取材される事になってるテレビ局の人に話したところ、テレビ番組でも紹介したいとかで司会進行役の人を用意してくれたって父親から聞いた。
馳川さんと父親は終始楽しそうに話をしていて、春翔の親父さんはその話を真剣な表情で聞きながら手帳に会話を書き込んでいるようだ。
「父さん、対談の内容を書いて後で使う事とかあるのかな」
「なかったらあんな事しないんじゃねぇか?」
「そうだよね……」
春翔は対談より親父さんの様子をずっと見ていた。
俺たちと会った時とは違う顔。
大変そうだな、って俺は思った。
対談は1時間半くらいで終わったけど、馳川さんとうちの父親はすっかり意気投合したのかアナウンサーや撮影していた人がいなくなってからもしばらく話していた。
「黄嶋さんも小さい頃からの夢を叶えられたんですね」
「えぇ、両親には感謝しかありません」
「私もです。アメフトは常に怪我と隣り合わせのスポーツですが、両親が1番の理解者でした」
「先生、もうお時間です」
盛り上がっているところに、春翔の親父さんが申し訳なさそうに言う。
「あぁ、そうか。あっという間だな。黄嶋さん、今日は本当にありがとうございました。ぜひまたお会いしましょう」
「えぇ、ボクもとても楽しかったです、ありがとうございました」
「君たち、ずっと話ばかりで退屈じゃなかったかい?」
父親とだけ話すのかと思いきや、馳川さんは俺たちに近づいてきて話しかけてくる。
「い、いや…そんな…」
「とてもためになるお話ばかりでした。僕も夢を持ってそれに向かって頑張りたいです」
俺はいきなりの事にびっくりして言葉に詰まったけど、春翔は笑顔でサラッと答えてた。
「君は…黄嶋さんのファンの子だったかな。という事は指揮者になりたいのかい?」
「ええ、ですがその為にはもっと音楽を学ばなければと思って今はピアノを頑張っています」
「それは素晴らしい。ご両親は君の夢を応援してくれているのかな?」
馳川さんは終始にニコニコしながら春翔の話を聞いている。
春翔は両親という言葉に一瞬ハッとなったけど、
「はい…うちは母しかいませんが、母はいつも僕を応援してくれています…」
って笑顔で返した。
その視線の先には親父さんがいて、一瞬複雑な表情を浮かべたけど、すぐに穏やかな表情に戻っていた。
「そうか。君は苦労した事もあっただろうね。次回黄嶋さんに会う時は君もまた来るといい。藍田くん、この子の連絡先、把握しといてくれよ」
「は、はい……」
「……」
春翔、また仕事してる親父さんを見られるかもしれないんだな。
良かったな、春翔。
嬉しそうにしている春翔の顔を見つけた俺はそう思った。
******************
取材が終わって父親と春翔と帰ろうとしたら父親のスマホに楽団のメンバーから相談したい事があるとかで連絡が入り、会う約束が出来てしまったので俺たちはタクシー代をもらい、先に帰るように言われてた。
「……やっとふたりきりになれるね、春楓」
そう言って、春翔はおばさんが仕事でいないから家に行こうって誘ってきたんだ。
「母さん、明日の午後まで帰らないって言ってたから誰にも邪魔されないよ……」
俺は母親に春翔んちで遊んでから帰るって連絡をすると、春翔んちに向かってた。
部屋に入る前に、春翔は玄関を開けてすぐ俺を抱き寄せてくる。
「春楓……もう……待てない……」
「お、おい、はると……っ……」
ドアを背に、俺は春翔にキスされてた。
絡みついてくる舌にぞくぞくさせられ、立つのが苦しくなっていく。
「んは……っあ……っ……!」
春翔の手が髪、頬、首筋と触れて、タキシードのタイを外してワイシャツのボタンも外していく。
「……ダメだよ、春楓。ワイシャツの下に何か着てなくちゃ。可愛い乳首、丸見えになってるよ?」
「んぁ……っ……!」
ワイシャツ越しに指で乳首を押されて身体が熱くなる。
「僕しか見ないからいいけど、他の人に見せるとか絶対嫌だよ?春楓」
「はぁ……あ……っ、やぁ……」
「嫌?あぁ、直接触って事だよね?」
「ち、ちが……あぁっ……!!」
ワイシャツのボタンを全開にした春翔に直接乳首を触られた俺は倒れそうになってた。
「可愛い、春楓。その髪型でそんな顔するなんて、反則だよ」
「う……うるせ……っんん……ッ……!」
もう一度キスされながら乳首を弄られる。
気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうだ。
「はぁ……あぁっ、はると……っ……」
「大丈夫だよ、春楓。向こうでもっと良くしてあげる」
足元がふらついて春翔の身体にもたれかかっていると、春翔が俺を抱き上げて部屋に連れていく。
ベッドに寝かされ下半身を晒された俺は、既に興奮しまくっている春翔のモノを脚の間に挟むように言われてた。
「んん……ふぁ……あぁ……ッ……!」
下半身だけ裸になってる春翔が俺の恥ずかしい顔を時々顔を歪めながらも嬉しそうに眺めてる。
焚いてるアロマのイイ匂いとタキシード姿で乱れてる春翔にドキドキが止まらなくて、俺はその背中に手を回していた。
「大好きだよ、春楓」
「お……俺も……すき、好きだ、はると……!」
身体が密着するという事はアソコも密着する訳で。
俺たちはふたり重なった状態でイッてたんだ。
そこに、父親から着信が入る。
「春楓!響ちゃんから聞いたよ!!春翔くんちにいるんだって?」
余韻に浸らせてくれないバカでかい声。
周りが賑やかなのか、いつもよりも更にうるさい気がする。
「あ……あぁ……そうだけど……」
「分かった!今からタクシーで向かうから待ってて!!」
それで電話が切れてしまったから、俺たちは慌てて後始末をする羽目になった。
「悪ぃな、春翔。髪型まで直してもらって」
「ううん、ちゃんとしてないと怪しまれるからね」
俺の乱れた髪を春翔は父親が来るまでにちゃんと元通り、セットした状態にしてくれた。
自分のも素早くやってのけると、春翔は俺にキスしてくる。
「今日は本当に良い日だったよ。父の普段の仕事について見る事が出来たからね。最後に大臣に聞かれた時はどう答えるべきか迷ったけど」
「マジかよ、自然すぎて本当に思ってるのかと思った」
「まさか。僕、音楽で食べていこうなんて考えた事ないよ。おじさんのファンなら指揮者でいいかなって思ったからああ言っただけで」
「……お前、スゲーな」
「ありがとう、春楓にそう言ってもらえるのすごく嬉しいよ」
父親が来るまで、春翔は俺の事を背後から抱き締めて離さずにいた。
俺も春翔の温もりが気持ち良くて、春翔に身体を預けていたんだ。
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