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第19話

HARU、爛漫☆第9楽章『なつやすみ』 (黄嶋春楓の場合・2) 来週末から学校が始まるけど、春希んちの方も一段落ついてようやく俺たちにとって夏休みって呼べる日がやって来た。 去年は俺のせいで行けなかったお祭り、今年は無事に楽しめそうだ。 ****************** 「出来たよ、春楓」 「相変わらずスゲーな、春希」 「お弟子さんたちに鍛えられたからね」 お祭りに行く前、俺は春希の親父さんがお弟子さんたちの分と一緒に頼んでくれた浴衣を春希に着せてもらってた。 春希は小さい頃から着方を教えてもらってたって事で、俺と春翔にも着せてくれたんだ。 「お、いいじゃねぇか、ふたりとも」 全員が同じ黒色で、春希の親父さんの力士時代の四股名が入っている浴衣にベージュ色の帯。 それを見ていた親父さんが声をかけてくる。 「そうですか?僕、違和感ないですか?」 姿見の前でウロウロしている春翔。 今日は浴衣に合うようにってセットしてきた髪型が大人っぽくてカッコイイ。 指輪はネックレスじゃなくて左手の薬指に嵌めてて、実は俺もそうしてたりする。 「問題ねぇって!新入幕の外国人力士でこういう奴いるように見えるからな!ははははは!!」 不安そうな春翔を豪快に笑う親父さん。 春翔はちょっと複雑な表情を浮かべてた。 「お前は昔の俺を見てるみたいだな、春希」 「……そう……」 嬉しそうな親父さんに対して、春希はいつもの淡々とした表情だった。 前に親父さんとあんまり似てるって言われたくないって言ってたな、春希。 って、横に並んでるの見て気づいたけど春希の奴、親父さんの身長少しだけど追い越してる。 十分デカいのにまだ伸びてんのかよ。 羨ましい。 「春楓は中学生から成長してねぇなぁ」 「うるせぇ!気にしてんだから言うなよ!!」 親父さんに頭を撫でられガキ扱いされて俺は恥ずかしくなる。 「春楓、大丈夫だよ。これから伸びるかもしれないし」 「そうそう、伸びる人は20歳過ぎても伸びるみたいだよ」 ふたりがそう言ってくれたけど、俺はバカにされてるような気がしてならなかった。 「お前ら、絶対心の中で笑ってるだろ」 「笑ってないよ。僕の中で春楓はずっと変わらないってば」 「僕もだよ、春楓はずっと僕らを引っ張ってってくれてるリーダーでしょ」 「ふーん……」 それが本音のようでそうじゃないコトは十分分かってる。 「春希、お前はそろそろ春楓に甘えるの卒業したらどうなんだ」 親父さんが言った。 こないだの、俺が合宿に行く前夜に一緒に飯食べた時も言ってた言葉。 「僕、父さんとは違うから……」 一瞬、春希があの時と同じように唇を噛み締めていたのを俺は見逃さなかった。 「おじさん、春希は頑張ってるよ。今は俺の方が春希に助けられてるし」 「お?そうなのか?それならいいんだ。こいつ、そういう話全くしねぇからてっきりあいも変わらずお前におんぶにだっこしてんのかと思ってた」 俺、すかさずフォローする。 親父さん的には春希の控え目な性格を変えて欲しいんだろうけど、それは無理だと思う。 ……ま、エロい事する時はスゲー積極的だけど。 「春楓、ありがとう。春楓にそう思ってもらえてるなんて嬉しいよ」 そう言って、春希は口元だけだけど笑ってくれたんだ。 ****************** 春希んちを出てお祭りの会場に向かうと、そこはかなりの賑わいを見せていた。 「どこで見る?早いとこ場所取りしとかねーとこの人だかりじゃヤバそうじゃね?」 駅の前でやってる屋台で焼き鳥を買い、それを用意されてた席で食べつつ話す俺たち。 「あ、それなんだけど、父さんの知り合いの人が花火が見えるホテルの一室、僕らに貸してくれるんだって」 すると、春翔がそんな事を言い出した。 「えっ!?それスゲーじゃん!」 「うん、こないだ会った時父さんに僕ら3人で花火を見る話をしたら、その人に頼んで予約してくれたんだ。ベランダからゆっくり見られるらしいし、終わったら泊まっていってもいいって言われたよ」 次元が違う話に驚きつつ、俺たちは春翔の親父さんの行為に甘える事にした。 せっかくだからという事でホテルにも泊まる事にしたんだ。 「春翔、ありがとな!」 「ううん、僕は何もしてないから…」 駅から歩いてすぐの場所にあるホテルに向かい、売店でジュースを買ってから部屋に向かった。 最上階のそこは俺たちが使わせてもらう部屋しかなくて、部屋の中に広い風呂があって、めちゃくちゃ豪華だった。 ベランダに行くと、3人ベンチを並べて花火が上がるのを待つ。 海の上に上がる花火は珍しいとかで、その為だけに観光客が来るくらい有名だったりする。 「そういえば、ロビーにピアノが置いてあったね。自由に弾けるなら練習しに行きたいよね」 春希が言い出す。 「そうだな!ちょうど3人揃ってるし、発表会の練習できるよな!!」 「うん」 「花火が終わったら早速行ってみよう!」 話していると、花火が上がる。 「わぁー!!!」 すぐ目の前に見える花火に、俺は感動した。 「スゲー!!こんな間近で見たの、初めてだ!!」 「綺麗だね」 「うん……」 俺、ベンチがあるのに立ち上がってベランダの端っこまで向かって花火を見上げてた。 「……こうしてずっと一緒にいられたらいいな……」 その横に春翔が並んで、俺の肩を抱く。 いつもと違う雰囲気なのは、服装や髪型だけじゃなくて匂いのせいもあるような気がした。 春翔、最初にHした時に似たような匂いがして、それに俺はドキドキしちまう。 「春翔……」 春翔の方を見ると、春翔は俺にキスしてくる。 「……僕もどんな事も3人で分かちあって生きていきたいと思ってる……」 春翔の唇が離れて少しすると、春希が春翔とは反対側の俺の隣に並んだ。 「春楓、ずっと一緒にいてくれるよね?」 「あ、当たり前だ……」 俺の顎に触れて持ち上げると、春希も俺にキスしてきた。 春翔や俺は浴衣に着られてる感じだけど、春希はその体格もあると思うんだけど、着慣れてる感じに見えてカッコイイ。 「春翔、今日は君のお陰で楽しい夜を過ごせそうだから、先に春楓の事、抱いていいよ」 「ありがとう、春希。言い方引っかかるけど許してあげる」 「おい、勝手に決めてんじゃねーよ」 って言ったけど、泊まりって話が出た時点でそうなる予感はしてたんだ。 ****************** 花火が終わると、俺たちはロビーに向かい、ピアノが使えるかどうか確認してた。 たまたま春翔の親父さんを知ってる人がフロントにいて、普段は展示しているだけだけど特別にという事で使わせてもらえる事になった。 ひとつだけあった椅子を避け、俺たちは発表会の練習をし始める。 最初は人があまりいなかったロビー。 でも、俺たちが練習してる間にどんどん人が増えていって、通しで弾いてみようとした時にはかなりの人がピアノの周りに集まっていた。 「兄ちゃんたち、1曲聴かせてくれよ」 どこからかそんな声が聞こえてくる。 「どうする?通しでやってみるか?」 「うん、まだ完璧に弾けないけど」 「仕方ないよ。弾かなきゃいけない雰囲気になっちゃってるよね」 3人で顔を見合わせ、まだ未完成状態だったけど弾いてみた。 本番より少しテンポを落として春希と俺が前奏を弾き始め、後から春翔が入ってくる。 春希の力強い低音に負けないように、春翔の流れるように弾いてくれる高音部が消えないように、今は丁寧に弾く事を意識してた。 もう少し早く弾けたらもっと楽しいのに。 そんな気持ちにもなったけど、3人で揃えて初めてミスなく綺麗に弾けた。 聴いていた人達は拍手してくれて、アンコールまでもらってた。 それでもう1曲は、こないだ駅でも弾いたクリスマス会の曲を弾いたんだ。 こっちは完璧に弾けて、スゲー楽しかった。 「どこかで見た事があると思ったら、真ん中の君、キジケンの息子さん?」 ピアノを弾き終えて椅子を直していると、知らないおじさんに声をかけられる。 「あ…はぁ…そうですけど……」 「テレビで観たよ。君、やっぱり才能あるよね。将来音楽家にならないの?」 「え…えーと…俺はそんな風には思ってなくて……」 「勿体ないね。ひょっとして、親御さんが有名だから気にしてるのかな?」 背が俺より少し高い、スーツを着たお金持ちそうなおじさんは俺の手を握ってくる。 その手の感触に、俺は背筋が凍りついた。 「あの、すみません、僕たちはこれから予定が……って、新庄さん!?」 「あっ!春翔君!!いつもと雰囲気違うから分からなかったよ。キミ、すごいお友達がいるんだね。メガネの彼、赤城山の息子さんでしょ?」 おじさんは春翔に気づくと、俺の手を離してくれる。 「はい、ふたりとも幼馴染なんです。春楓、春希、この人は僕が通ってるジムで一緒の新庄さんだよ」 「初めまして!よろしくね」 「どうも……」 春希と俺は軽く会釈してた。 「こんな所で会えるなんてね。それに君たちプロ並みにピアノ上手いんじゃない?」 「そんな風に言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます」 それから俺たちはその人に誘われて、ホテルにあるレストランでケーキと紅茶をご馳走になった。 「実は今度、新しい事業を始めようと思ってるんだけど、軌道に乗ったら君たちにも協力して貰えたら嬉しいな」 新庄さんは仲間と幼稚園の設立を考えているとかで、その時に俺たちにそこで働いて欲しい的な話をした。 「それって僕たちみんな資格取らなきゃいけないじゃないですか」 「ははは、そうだね。もし他にやりたい事があるならいいけど、決まってないなら前向きに考えてよ」 「分かりました」 将来の事なんて全然考えてなかった俺にとって、それはちょっとした出来事になった。 ****************** 新庄さんと別れると、俺たちは部屋に戻ってきた。 「将来の事、考えた事なかったな。お前らとずっと一緒にいる事しか決めてなかった」 「そうだね。僕も同じだよ。一緒にいるにも働かないと生きていけないよね」 「僕も。大学卒業するまでに決まればいいかなって思ってた」 ソファに並んで座ると、3人でそんな話をする。 「春希に幼稚園の先生、似合わなさそう」 「ぷっ、確かに」 「自覚してるからそんな事言わないでよ」 俺と春翔で春希をからかうと、春希は少し照れくさそうにした。 「でも、幼稚園児ってスゲーエネルギー必要そうだから、春希なら3人くらい一気に抱っこ出来そうだし案外いいのかもしれねぇな」 「春楓は一緒にサッカーやったりしてそう」 「春楓みたいな先生なら人気出そうだよね。お母さんたちからも」 「お母さんたちからはお前らだろ?」 他愛のない話をする、この時間も俺は大好きだ。 やっぱ、このままずっと3人一緒がいい。 「ふふっ、3人で幼稚園の先生、悪くないかもね」 春翔がそう言って笑う。 「確かに大変な事もあると思うけど、春楓と一緒に働けてピアノも弾ける仕事なんてすごくいいと思う。本当に目指すなら色々調べておかないとね」 「お、おう……」 春希は現実的な話をして、俺は身が引き締まる感じがした。 「さ、お風呂入ろっか。春希も一緒に入るよね?」 「あぁ」 風呂に入る。 それって絶対エロい事するって事だよな。 ふたりともフツーの顔して言うからしないのかな、って思ったけど、それはもちろん違ったんだ。 「ホントスゲーな、この風呂」 「うん、木の匂いが心地良いよね」 男3人で入っても全然問題ない広いひのき風呂。 俺たちはそれぞれで身体を洗うと、その中に入ってた。 「はー、めっちゃ気持ちいい……」 「うん、お湯の温度、そんなに熱くないからゆっくり入れそう……」 最初はフツーに並んで入ってた。 けど、しばらくしたら春翔が俺の大股の辺りを撫でてくる。 「ん……っ、春翔……」 「いいよね?春楓…」 「ひゃぅ……っ……」 濡れた髪はいつもより少しまっすぐで、でも相変わらずカッコイイ春翔。 俺はそんな春翔に自分のをお湯の中で握られて、そのまま上下に扱かれる。 「春楓…可愛い……」 背後には春希が来て、耳元でそう言いながら俺の乳首に触れてきた。 「あっ、んぁ……っ……」 違う場所だから? お湯の中でされるってあんまり経験ないから? よく分からないけど、いつもよりドキドキしてる気がする。 「春楓の蕩けてる顔、すごくHで可愛くて大好き」 「んん……んぅ……ッ!!」 春翔がキスしながら俺のを扱くスピードをあげてくる。 堪えられなかった俺は、そのままイッちまってた。 「大丈夫?春楓。逆上せてない?」 「お……おう……」 「じゃあこのまま続けるね……」 「や……あぅ……っ……!!」 春翔の指が挿ってくる。 一緒にお湯も入ってきて、変な感じがした。 「春希も一緒に触る?」 「あぁ、そうしていいなら」 「えっ……あぁっ、それダメ……ッ……」 春翔の指が1本挿ってたトコロに、春希の指も挿ってくる。 「うぁ……ッ、やだ……っ、おかしくなるぅっ……!!」 それぞれが別々の動きをしてて、ソコにお湯も入ってきて、ふたりに挟まれてるから抵抗する事も出来なくて、イッたばかりなのにまたイキそうになる自分がいた。 「おかしくなっていいよ、春楓」 「やぁっ、はると、はるき……ッ……!!」 春希が俺の身体を自分の方に向けさせるとキスしてくる。 「ん……ふぅ……んん……ッ!!」 「春楓、もう大丈夫そうだから僕の挿れちゃうね。春希、指抜いてくれる?」 春希と舌を絡ませあいながらキスしてるのに、春翔はそんな事を言って春希に指を引き抜かせて俺のナカに挿ってくる。 「はぁ……ッ、あぁっ、ぅあ……ッ!!」 「ふふ……っ、春楓、自分で腰振っててすごくHで可愛い……」 春翔に背を向けて、春希の身体にもたれかかってた俺。 身体のナカの春翔がいつもより熱く脈打ってる気がして、気を失いそうになる。 「春楓のいやらしい顔見てるとゾクゾクするね……」 「ひぁ……っ!!ソコはダメ……ッ!!」 「春楓、僕の触って」 「あぁんっ!!」 そんな俺の髪を撫でると、春希が俺の手を自分のモノのトコロに導きながら、イキそうになってる俺のを握ってくる。 「あぁっ、も、ダメっ……イク……ッ!!」 春希の手で数回扱かれただけで俺はイッてしまい、気が遠くなっていったんだ……。 気がつくと俺は布団に裸で寝かされてて、隣には布団に座ってる春希がいた。 「春希」 「逆上せちゃったね、春楓」 暑いのか、春希は下着だけを履いた格好でいる。 メガネはかけてて、薄暗い照明の中に浮かぶ身体はいつ見てもドキドキする。 「春翔は?」 「売店。お水買いに行ったよ」 「ふーん……」 どっちがやったか分かんねぇけど、俺の額には濡らしたタオルが乗っかってた。 「大丈夫?タオル冷やして来る ?」 「いや、いいよ、もう大丈夫そうだし。それよりお前、俺が気を失ったせいでイッてねぇよな?」 俺、タオルを避けると、立ち上がろうとする春希の腕を掴んでた。 「そう…だけど、春楓に無理させたくないよ」 春希は心配そうな顔をして俺を抱きしめて髪を撫でてくれる。 「俺がいいって言ってんだから気にすんなよ。それに俺だけイカされてんの…なんか嫌だ」 そう言って、俺は春希の下半身に顔を近づけていた。 下着をずらすと、ドキドキしながらまだ全然勃ってない春希のを口に含む。 「……っ、春楓……っ!」 荒い呼吸をしながら、気持ち良さそうな声を出してくれた春希。 ちらっと見たその顔も、快感で少し歪んでた。 俺の口のナカで大きくなっていくのが嬉しくてつい夢中になってしていると、春翔が戻ってくる。 「春楓、こんな事して大丈夫なの ?」 「う……んっ、んむ……っ……」 俺、春翔の方を見て頷くとその行為を止められなくて続行してた。 「春楓、もういいよ。僕、春楓の中でイキたい……」 そう言って春希はまた俺の髪を撫でて口を離すと、俺に覆い被さってきて、俺のナカに挿ってくる。 「はぁ……っ、うぁ……あぅ……ッ!!」 春翔に挿れられてたからか、いつもより痛みは感じない。 春希は最初からトップスピードで、俺の腰を掴むと激しく突いてくる。 「春楓、僕も気持ち良くしてもらってもいい……?」 「ん……っ、うぅ……っ……!!」 横から春翔が半勃ちのを俺の口元に持ってきたので、俺はソレを口に含んでた。 堅くなっていく春翔のに舌を這わせたり先端を少しキツめに吸ったりすると、春翔のが口の中でビクビク震えて気持ち良さそうにしてくれた。 「はぁ……っ、春楓が一生懸命してくれてるの、すごく嬉しい……」 そう言って俺の髪を撫でてくれる春翔の手が心地良い。 あぁ、こんなコトしてるけどスゲー幸せ。 俺、贅沢だよな。 でも、ふたりとも大好きなんだ。 その夜、俺たちは遅くまで身体を重ねて、気づいたら朝になってた。 「来年は受験があるからどうなるか分からないけど、またこうして一緒に過ごせたらいいね」 別れ際、笑顔でそう話した春翔に、春希も俺も頷いたんだ。

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