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第21話
HARU、爛漫☆第10楽章『初めての舞台2』
いよいよ週末が本番の学祭。
高等部ではその前に総練習って事で、各学年の劇参加者だけがお互いの演技を見られる機会が用意されてた。
******************
「……どう?春翔」
「うん、バッチリだよ、春楓」
俺、衣装に着替える前に晄と春翔にメイクしてた。
あれから何度か練習したから結構早く出来るようになったんだけど、周りに人がいる中でやるのは初めてだったから少し緊張した。
「黄嶋くん、いつの間にあんな事出来るようになってたの?」
「私が貴公子さまにメイクしたかった〜」
そんな女の子たちの声がちらほら聞こえてきてて申し訳なかったけど、春翔がそう言った子たちを宥めてくれてた。
「次は春楓の番だね」
「おう」
俺がしたメイクで女の子たちからいつもとは違う感じで騒がれてる春翔が俺にメイクをしてくれる。
その様子は近くで春希も見てて、出来上がった俺の顔に一瞬だけど少し動揺したように見えた。
「春翔、めっちゃ上達してんじゃん!」
「ありがとう、晄くん」
今回の劇ですっかり仲良くなった春翔と晄は笑顔を交わす。
「みんな、開始まであと少しだから終わった人から着替えに行ってきて」
桜田さんがそう声をかけてきて、俺たちは慌ただしく衣装が用意されてる部屋に移動して着替えてた。
「シンデレラ、それが終わったらお庭の草むしりをしておいてね!」
「はい、おねえさま」
「それが終わったらお洗濯よ!いいわね!」
ピアノを弾く時はそんなに緊張しないけど、ステージに立って演技してる時は部活の後輩やセンパイが見てると思うと緊張する。
灰田センパイ、晄の事見てるんだろうな。
たまたま視界にセンパイを見つけたけど、すごく嬉しそうにこっちを見てるように見えた。
前半の出番が終わると、あとはしばらくピアノの演奏担当な俺。
春希と春翔が一緒に踊りながら歌うシーン。
ドレスを着ながら弾くのは初めてだったけど、なんとか弾けた。
このシーンの練習、歌より踊りが大変そうだったよな。
ふたりとも社交ダンスなんてした事なかったから、春翔のキックボクシングの人の繋がりで社交ダンスの先生を紹介してもらってレッスンに行ったりして。
俺、本番はピアノ弾いてて見られないからって行ける時は一緒に行ってレッスン見せてもらってたけど、最初は足踏んだりして揉めてたふたりが段々上手くなってくのを見てスゲーカッコイイって思ったんだ。
そんなふたりのシーン、ダンスが終わったら拍手が聞こえてきたから上手く出来たんだろうな。
それから劇は問題なく進んで無事に終わった。
「あのふたりが王子様とシンデレラっていう時点で絶対間違いないと思ってたけど、クオリティ高すぎる〜」
「さすが貴公子さまよね」
「女装しても美しすぎるなんて……」
拍手と共に聞こえてきたのは春希と春翔の話。
ふたりの演技にみんな魅了されたみたいだ。
「お疲れ様!!すごく良かったと思うわ。本番もこの調子で!!」
桜田さんも嬉しそうに話してた。
「お疲れ様、春楓」
「春楓のピアノ、すごく良かったよ」
ピアノのところにいた俺のところにふたりが来てくれる。
劇の為に少し伸ばした髪をセットしたメガネの王子様の春希と、金髪のカツラをつけてホントのシンデレラみたいな春翔。
俺にはふたりがめちゃくちゃ眩しく見えたんだ。
「次は灰田先輩方の番だね。着替えに行って見られなかったら困るからこのままで一緒に見るよね」
「あぁ、そうだな」
劇に出てた下級生の子たちも着替える事なく衣装のまま観客席に座ってたから、俺たちも同じように衣装を着たまま下級生の子たちの後ろの席に座った。
それからすぐにセンパイ方が参加してるかぐや姫が始まって、白川センパイが出てくると、館内にはどよめきの声が上がったんだ。
「……綺麗だね、すごく。本当のかぐや姫みたいだ」
「あぁ……」
春翔の声に俺は頷く。
ライトを浴びる白川センパイは本当にキレイで、声も女の子っぽくしてて、知らなかったら女の子だと思っちまうくらいだ。
「灰田先輩のメイク、あの先輩を更に輝かせてるよね」
春翔は白川センパイってよりは灰田センパイがしたっぽいそのメイクに感動してるみたいだ。
灰田センパイ、表に出てくる事はないけど、劇に出てるセンパイ方みんなを輝かせてるなんてスゲーよな。
「僕らが見ていた人を感動させられたのも先輩のお陰だよ」
「そうだな」
それにしても、白川センパイの演技、スゴすぎる。
何ていうか、色気がスゲーっていうか。
確かにこれはやって欲しいって頼まれるよな。
「あなた様が月に戻られたら、翁も嫗も残りの人生を悲しみに暮れる事になりましょう。そして朕もそれは同じ事……」
「お許しください。私は帰らねばならぬので……」
黒澤センパイの帝もカッコイイけど、白川センパイの存在感がスゴすぎて……って。
今、絶対黒澤センパイが白川センパイにキスしてたように見えたんだけど、気のせいかな。
「朕の想いを知っても尚、月に戻られるのか」
「わ…私の思いは変わりませぬ……」
黒澤センパイが白川センパイを抱きしめて見つめあってるふたり。
白川センパイ、少し顔が紅くなってる気がする。
周りもキスしたんじゃないかってザワついてたけど、フリじゃないかっていう話で収まってた。
こうして、センパイ方のかぐや姫は終わって、館内は大きな拍手に包まれてたんだ。
******************
春希と春翔と着替えに行こうとすると、合唱コンクールの時に写真を撮ってた新聞部のセンパイに声をかけられ、春希と春翔は当日の一般公開向けに作るポスター用の写真を撮られていた。
映画のワンシーンみたいに手を取り合って見つめ合ってるふたり。
見てるこっちがドキドキしてきたけど、ふたりはどんな事考えてあの顔してんのかな。
「あ、あの、すみません、主役の青木くんのインタビューを新聞に載せたいので、それも今お願いしてもいいですか?」
「分かりました。春楓、春希、先に着替え行っていいよ」
「おう、分かった。終わったら連絡くれよ。どっかで待ってるから」
「ありがとう」
あのセンパイ、春希の方を残念そうに見てた。
春希は全然気にしてない感じだったけど。
「春希、慣れないカッコして疲れたよな」
「うん……でも怒られなかったし、ピアノも楽しく弾けたから……」
着替えを置いてある部屋に向かう俺たち。
着いた時には衣装だけあって誰もいなくて、着替えてなかったのは俺たちだけだったみたいだ。
「春翔、すぐ終わるかな」
「どうかな……」
ふたりきりの空き教室。
カーテンをしてたけど、夕陽が差し込んできてた。
「春希、悪ぃんだけど、後ろのチャック開けて」
「うん、分かった……」
俺、ドレスについた背中のチャックを外してもらう為に春希に背を向ける。
すると春希はチャックを下ろしたかと思ったら、俺を近くにあった机に押しつけてスカートを捲りあげたんだ。
「お…おい、春希、何してんだ…」
「今日の春楓、いやらしくて僕の事誘ってるようにしか見えなかったからお仕置き」
「ちょっ……ここ学校なのに……っ……」
スカートの下に履いてたいつもより面積の少ない下着を脱がせると、春希はいつも収まってるトコロに舌で触れる。
「や……あぁ……ッ……、ダメだって……」
「どうして?学校だから?大丈夫だよ、春楓が大声出さない限りは春翔以外来ないでしょ」
「ひ……っあ……」
すぐに指でも触れられて、俺は声が出そうになるのをぐっと堪えた。
「春楓のココ、僕の指じゃもう満足出来なさそうだよ……」
「うぅ……っ、お前の…せいだろ……」
春希が俺の首元に顔を寄せながら言ってくる。
「……そうだね。春楓、僕に挿れられるの大好きになっちゃったよね……」
「や……あぁぁぁ……っ……!!」
指で慣らされていくと、それだけじゃ足りないっていうのがココロの中に広がって、それはもう春希にすぐにバレちまって。
春希は嬉しさでいっぱいな感じで息を吐くと、俺を後ろから貫いてひとつになってきた。
「ねぇ、春楓、僕が考えたシンデレラのお話聞いて」
春希がそう話しながらその堅いモノで俺のイイところを突いてくる。
「ん……っあぁっ……!!」
「シンデレラのお姉さんは王子様の事が諦められなくて色仕掛けで王子様に迫ってきました。お姉さんの妖艶さに魅了されてしまった王子様はすぐにお姉さんと関係を持ちました……」
耳元で囁く春希の甘い声。
俺を狂わせて、どんどん快感に溺れさせるんだ。
「王子様は純新無垢なシンデレラより、淫らなお姉さんの方が好きになり、ふたりは結ばれました……めでたしめでたし……」
「はぁ……っ、あぁっ……それダメ……ッ!」
今度はソコだけを刺激するように動いてくる春希。
ぐりぐり擦り付けられてめちゃくちゃ気持ち良くてヤバい。
「……ダメじゃないよね?春楓。僕の…こんなにもぎゅうってしてきてるのに……」
「ひぁ……あぅ……っ!!」
春希の呼吸も荒い。
俺の身体で感じてくれてるのが分かって嬉しくなる。
「……春楓のいやらしい顔見ながらイキたいな……いいよね?」
「う……っん……」
「ドレス……脱がせてあげるね……」
そう言って春希は1度俺から出ると、ウエストの辺りでまとまってたドレスを足元に全部落として俺を裸にした。
「春楓……僕に掴まってて……」
そう言って、春希は衣装を脱ぐと俺を抱き上げながらもう一度俺のナカに挿ってくる。
「うぅ……っ、んんん……っ……!!」
一気に奥まで突かれて、俺はその快感に声を殺すのに春希の首筋に顔を埋めた。
「あぁ、すごいよ春楓。この体位だと春楓にずっとぎゅっとされててすごく気持ち良い……」
「うぅ……はぁ……っ……」
それは俺も同じだった。
春希が動く度にイイトコロにダイレクトに刺激が来て、油断したら肩に回してる腕を離して落ちてしまいそうになる。
「春楓、このまま出すからね……」
「んん……うぅ……ッ……!!」
春希はイきそうになると、俺にキスしてきた。
俺が舌を絡ませてそれに応えると、俺のナカで春希のがどくんどくんと大きく脈打つ。
あぁ、出てる。
春希の精子、俺のナカに出てるんだ。
あったかくて気持ち良い。
俺、春希に中出しされてイッちまってた。
「は……っ、春楓……大丈夫?ごめんね、すごく気持ち良くてたくさん出ちゃったと思う」
「うぅ……っ、それはいんだけどさ、衣装無事か……?」
「う……ん、大丈夫だと思う、多分」
俺、春希の言葉で現実に戻る。
「多分じゃやべーだろ!!早いとこ片付けて調べようぜ」
「うん」
慌てて片付けて制服に着替える俺たち。
衣装を見てみたけど、大丈夫そうだった。
けど……。
「春希、俺のリップの色、口についてる」
さっきのキスで思い切りついたらしい俺のツヤツヤした紫色が春希の唇にもついていた。
「えっ、春楓、どうしたらいい?」
「待ってろ。確かこないだ……お、あった!」
俺、カバンの中からこないだ春翔が化粧品と一緒に買ってくれた、すぐメイクを落とせるウエットティッシュみたいなのを取り出すと、それで春希の唇を拭く。
「これで大丈夫だ」
「良かった、ありがとう、春楓」
そう言って、春希は口元を緩ませて笑ってくれた。
その後俺もそれでメイクを落としていると、春翔がインタビューを終えたみたいで教室に入ってきたんだ。
「お、春翔、お疲れ様」
「お疲れ様」
「ありがとう、ふたりとも。待たせちゃってごめんね」
何事もなかったように話す俺たちに対して、春翔はそう言って自分のカバンから俺が持ってるのと同じものでメイクを落とすと、猛スピードで着替えてた。
「インタビューもちゃんとやったけど、あの先輩、春希の事すごく気になってるみたいだね。インタビューの後、色々聞かれたよ」
帰り道、春翔がそんな話をしてくる。
「そのセンパイ、合唱コンクールの時は春希の好きなタイプ聞いてたな」
それで俺はあの時の事で思い出した話をしていた。
「へぇ、春希本人に聞いたんだよね?見かけによらずすごく積極的な人なんだなぁ……」
「……そうだったっけ」
春希、完全に忘れてるな。
「春楓以外の人に興味ないんだよね」
それ、その時も言ってたと思う。
「夏休みに何してたとか聞かれたから、家の手伝いを一緒にした話はしちゃったよ」
「そう。別に何を話してもいいよ。春楓の迷惑にならないなら」
ずっと興味なさそうに聞いてる春希。
それからみんなそれぞれ家に帰宅したんだけど、俺のところに春翔から、
『僕がインタビュー受けてる間、春希とHしてたでしょ。僕も本番が終わったら春楓と学校でHしてもいいよね』
っていうメッセージが来たんだ。
……気づいてたんだ、春翔。
俺は母親がレッスンしに下に降りたのを確認すると、
『分かった』
ってドキドキしながら返信してた。
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迎えた当日。
見に来なくていいって言ったのに、うちの母親が春希と春翔の母親を誘ったらしく、3人で見に来ていた。
「どうやら僕たちの劇を見に行く事、前々から計画してたみたいだよ。母さん、わざわざシフト変えてたからね」
メイクをしていると、春翔はそんな話をしてくる。
「マジかよ。高校生にもなって親が見に来るとか恥ずかし過ぎるよな」
「うん、そうだね。劇が終わったら3人でランチするとかですぐ帰るみたいだけど…」
そう言った後、春翔は俺の腕を引っ張って顔を近づけてくると、
「春楓、僕との約束、覚えてるよね?」
って耳元で囁いてくる。
「お、おう……」
その色っぽい声に、俺は背筋がぞくっとして、すごくドキドキしたんだ。
後輩も参加してた劇、『白雪姫』が終わると、いよいよ俺たちの番が来た。
「みんな、総練習通りでお願いね!」
「「はい!!」」
円陣を組み、桜田さんが言うと、全員が声を揃えて応える。
それからそれぞれの場所について、劇が始まった。
ステージに立つと、母親たちが最前列でめちゃくちゃ凝視してるのが見えてかなり恥ずかしかった。
春翔のおばさん、主役になった息子の姿をビデオ撮影してるんだろうけど、女装してるのは気にならねぇのかな。
あと……幼馴染といい雰囲気になってるシーンとか……。
「きゃぁぁぁっ!!」
春希と春翔が見つめあってるシーンで若い女の子たちに混ざって歓声出してるうちの母親。
うるせぇよ。
少し落ち着けよ。
俺はそんな感情を出さないようにピアノを弾く事に努めた。
そうしてるうちに劇は終わってて、総練習の時の方が緊張したような気がした。
「それでは3年生の準備が終わるまで、主演のおふたりにお話を伺おうと思います」
ピアノが設置された場所から降りると、幕の閉じたステージの上に放送局の女の子と春希と春翔がいた。
「まずはシンデレラ役の青木春翔さん、お疲れ様でした。今のお気持ちをお願いします」
「はい、正直ホッとしています。春希とは幼稚部からの付き合いでまさか今回こんな事になるとは思いませんでしたけど、楽しかったです」
目元がキラキラの春翔はライトを浴びて更にキラキラしてるように見えた。
その通る声で俺の伴奏に合わせて歌ってくれた時はすごく楽しかったし嬉しかったな。
インタビューしてる女の子も、春翔の顔見てウットリしてるように見える。
「ありがとうございます。続いて赤木春希さん、お願いします」
「僕も春翔と一緒にこんな事をすると考えた事がなかったので、劇に参加して貴重な経験をさせて頂けたと思っています」
ステージ上が暑いのか、汗をかきながら答えている春希。
そんな春希の汗を春翔が手に嵌めてる白い手袋で触れて拭いてるようにすると、女の子たちの歓声が上がった。
「…ありがとう」
「どういたしまして」
春希が顔色一つ変えずに言うと、春翔がニッコリ微笑んで応える。
何だよ、今の。
胸がちょっとズキってした。
「お、おふたりはすごく息ピッタリという感じでしたね」
「ずっと一緒に過ごしてきましたから、お互いの事は知り尽くしていると思います。ね?春希」
「あぁ」
春翔、わざとなのか?
なんか……春希に寄り添っていい雰囲気みたいな感じを出してる気がする。
それが劇の時は気にならなかったのに、今はすごく気になっちまって胸がズキズキしてきた。
「ありがとうございました!これでインタビューを終わらせていただきます」
「「ありがとうございました」」
ふたりは声を揃えてお辞儀しながら言うと、春翔が春希の腕に自分の腕を絡めてステージから降りていく。
「貴公子さまたち、本当の恋人同士みたいだったわね!でもあの御二方なら男同士だけどすごくお似合い!」
「分かる〜!!女の子と付き合ってるのは嫌だけど、御二方が御付き合いされてるのは大歓迎よね〜!!」
周りから聞こえるそんな声。
俺との関係を隠す為にあんな雰囲気だった……のかな……。
胸をズキズキさせながら、俺は劇の会場だった体育館を後にしたんだ。
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今、着替えに行ったら春希と春翔が一緒にいる……はずだ。
全然問題ないのに、足が進まなくて誰もいない後輩たちの控え室に入ってた。
「はぁ……。俺、馬鹿じゃねぇの……」
床にしゃがみ込むと、そんな言葉が出る。
ふたりの気持ち、分かってんのに何でこんなに胸がズキズキするんだよ。
嫌だ。
あんなふたりを見て、勝手にモヤモヤしてる自分が嫌だ。
「あ、春楓、こんなところにいた」
「春翔……」
そこに、まだドレス姿のままの春翔が入ってきた。
「そんな顔してどうしたの?」
「や……っ!!」
春希の汗を拭いてた手袋で頬を触られるのが何となく嫌で春翔の手を振り払ってしまう。
「……あ、分かった。さっきの僕と春希のインタビュー、見てたんだね……」
振り払った手を掴むと、春翔は俺を抱きしめてくる。
「可愛い、春楓。ヤキモチ妬いてくれたんだ……」
くすっと笑うと、春翔は俺の頭を撫でながら言った。
「う…うるせぇ……」
「あれはね、母さんたちが来てたから僕らが恋人みたいな雰囲気出したらどんな反応するか見てみない?って春希と話してああしてみたんだ。まさか春楓が見ててヤキモチ妬いちゃうなんて思わなかったよ」
そう言って、春翔は俺の額にキスをしてくる。
「母さんたち、びっくりした顔してたんだ。帰ったら何て言われるかな。肯定的な事言ってくれたら……僕らの関係を許してくれるかもしれないよね……」
手袋を脱いで俺の頬に触れる左手にお揃いの指輪が嵌めてあるのを俺は見つけた。
俺、今日はカバンにしまってたけど、春翔は手袋で隠れるからって嵌めてくれてたんだな。
「行こ、春楓。ここは下級生が戻ってくるかもしれないし。僕らの学年が使ってる教室はもう誰も来ないよ。春希にも事情を話して帰ってもらったから」
「お…おう……」
俺は春翔に手を引かれて自分たちの控え室に向かったんだ。
「んぅ……っ……」
カーテンを締め切ったままの教室。
でも、念の為にって春翔が言って、室内にあったダンボールが積み重なって外から見えにくくなってる場所で俺たちはキスを交わす。
春翔、この部屋に来た時にカバンから出した霧吹きをあちこちで使ってたけど、それにあのアロマオイルを入れてたみたいで室内がいい匂いに包まれてた。
「春楓、その格好のままで僕の咥えてくれる?」
「ん……むぅ……」
春翔が下着を脱ぎ、ドレスを捲り上げて俺に既に堅くなってるモノを見せると、俺はドキドキしながらソレを迷う事なく口に含んだ。
「あぁ……春楓が女の子の格好して咥えてくれてるの……すごく興奮する……」
春翔が俺の髪を撫でながら気持ち良さそうな顔をしてくれるのを見ると嬉しくなる。
「んぐ……っ……ぅ!!」
「続けて、春楓」
俺に口でさせながら、春翔は俺の下着を足元まで下ろして大股の先に指を埋めてくる。
それで俺が動きを止めると、いつもとはちょっと違う、少し低めのトーンで言ってきたんだ。
「う……っ、むぅ……んんっ……」
長い指がナカで動く度身体が熱くなっていくのを感じて、ソレだけじゃ満たされなくて、その動きに合わせて腰が動いてた。
「ここ、学校なのにね、春楓。女の子の格好してHな事してるなんて僕ら変態だよね」
「んん……ッ!!」
春翔が荒い呼吸を繰り返しながらそう言ってきて、俺のナカに挿れる指を増やす。
弱いトコロに指の骨ばったところがあたって、俺はイッちまってた。
「……春楓、そろそろいい……?」
指が動く度にぐぷ、ぐぷっていう液体が恥ずかしいくらい大きな音でしてくると、春翔が俺の口からさっきよりも堅くなったモノを抜いて聞いてくる。
「うん……挿れてくれよ……春翔……」
恥ずかしかったけど、俺はスカートを捲り上げて春翔が挿入しやすいように脚を広げてた。
「そう言ってくれるなんてすごく嬉しいよ。春楓……大好きだよ……」
カツラを被ったまま額を合わせた後、春翔がナカに挿ってきて俺と手を繋いでくる。
「はると……ッ……」
熱くてどくどくしてる春翔の存在を思うと変に力が入って、その繋いだ手をぎゅっとしてしまってた。
「あ……悪ぃ……」
「ううん、平気、大丈夫だよ」
いつもの優しい笑顔を見せると、春翔はキスしてくる。
「ふぁ……んんん……ッ……!!」
キスしながら激しく腰を動かされて、俺はドレスの下でまたイッてた。
俺がイッて少ししてから春翔も俺のナカでイッたんだけど、終わった後のドレスはとんでもない事になっていたんだ。
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「お仕上がりは来週の月曜日ですね」
「分かりました、よろしくお願いいたします」
ドレスについた精液をなんとか拭き取ると、俺たちは学校と駅の間くらいにあるクリーニング屋にドレスを出していた。
「すごく興奮しちゃったね。でも、春楓はそのままで十分可愛いしカッコイイからもうあの格好でHはしないかな」
「あ、そう……」
内心、ホッとする俺。
化粧するのも落とすのも面倒だし、何よりドレスについた時の後始末が大変だったから俺ももういいかな、って思ってたりする。
てか、学校でHするなんて完全にヤバいよな。
「そういえば…僕の気のせいかもしれないんだけど、Hしてる最中、誰かに見られてるような気がしたんだ」
「えっ、マジかよ」
「うん…でも僕の勘違いかもしれない…」
自信が無さそうに話す春翔。
繊細な春翔が言い出した事だからもしかしたらって事があるかもしれないって思ったけど、この時、俺たちはその真相にたどり着く事が出来なかった。
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