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第5話

あれから約半年。時は冬になり、この街にも雪が降り始めた。 俺は、今でも裕也を好きなままでいてしまう。忘れてくれと言ったからか、祐也は次の日からいつも通りだった。先輩のことが好きなのは変わらず。 ただ、俺は彼から離れなきゃならなくなってしまった。 「おい、どういうことだよ…!」 「だから、担任から言われただろ?東京に転校すんだ。寂しいけど、たまには遊びに行くからよ」 「そうじゃなくて、何で先に言わねぇんだよ!!置いてかれる俺はどうでもいいって思ったからから?ふざけんな!!」 「そうじゃないよ、ただ…俺が離れるのを実感したく無かったんだ」 自分勝手でごめんなと言えば、勝手すぎる、と涙をこぼす君。俺のために流す涙なんて、もったいない。 「泣くなよ。俺の他にもお前には友達がいるし、支えてくれるやつはいっぱいいるよ。先輩とのことも応援してる」 なんかあったら電話しろよな。そう言えば、さらに泣き出す。他の奴は泣いたりしても、ここまで怒る奴はいなかった。元気でなとか、俺のこと忘れるなとか、そんな言葉を掛けてくれたけど。だから、祐也が何に対してそんなに怒ってるのかがよく分からない。 「お前なんて、もう知らない…」 それが、祐也のお別れの言葉だった。

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