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第6話

東京は、いろんな人がいた。 もともと家庭環境が良くなかったから、家になるべく帰らないために誰かに自分を売って宿を提供してもらうことがしばしばだった。父親が暴力を振るう弱い人なのだ。母と妹は逃げて俺が残った。俺は何故か、父親を見捨てられなかった。 宿を提供してくれる人の中に、常連が一人いた。渡辺波瑠という、金持ちの息子だ。高校は違ったが、同い年で、波瑠は決められた人生に飽き飽きしていたから遊び始めたという。何にしろ、ただ体を合わせるだけで後は話したり、抱きしめ合って寝たりと、何故か心を許していった。 波瑠には祐也のことを話してあった。今でもたまに思い出す。本当に好きだった。波留はそれを興味なさそうに聞いてたから、余計に重いことでも何でも話せた。 それでも、波瑠ばかりを相手してるわけではない。酷い時は、全身傷まみれで授業を受ける日もある。男女に突っ込むことばかりじゃなく、突っ込み突っ込まれてマワされる日もあった。その度に東京にはいろんな人がいると実感した。それを波瑠に話したら、何故か笑われた。 「お前は変なところが壊れてるなぁ。ま、そこが面白いけど」 波瑠曰く、俺は感情に疎いらしい。自分他人関係なく。

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