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第一章・2
公園の隅に、確かに花が植えてある場所があった。
花壇とは別に、ぽつんと一株だけ植えてある花が風に揺れている。
こぶしほどの大きさの丸っこい石がすぐ近くに置いてあり、その下にミケが眠っているのだと聖にも解った。
「ミケ……、ホントに死んじゃったんだ……」
聖は、ミケの墓に手を合わせた。
でも、どうして?
昨日まで、あんなに元気だったのに。
「交通事故にでも、遭ったのかな」
すると、突然背後から低い男の声がした。
「違う。ネコは殺されたんだ」
聖は驚いて後ろを振り返った。
そこには、背の高い男が立っていた。
聖の身長は160㎝程度なので、それと比較するとおそらく180㎝近くあるだろう。
日本人としては、大きい方だ。
顔つきは精悍で、厳しい表情をしている。
特有の威圧感から、おそらく男はαだろう。
黒のスーツに白のシャツの下には、鍛え上げられた筋肉が見て取れる。
ただ、ネクタイまで黒いので、まるで男は葬儀に関係する人間に見えた。
不吉な、怪しい香りのする男だった。
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