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第二章・2
聖の家庭は、裕福だった。
弁護士の父に、医師の母。
生活に困ることなく育った聖だったが、両親の愛情は希薄だった。
βの父母は、聖の弟がαと解ると彼を溺愛した。
聖は高校入学と同時にマンションを買い与えられて、一人暮らしを余儀なくされた。
「それで、こんな高級マンションに一人で住んでるのか」
「高級かどうかはわかりませんが、一人暮らしです」
駿佑は、バスを使わせてもらうと聖に部屋着を渡された。
「小さかったら、ごめんなさい」
それはLサイズのスウェットで、聖のものにしては大きすぎる。
「いつか、父がここに来てくれるかなぁ、なんて思ってて。それで」
照れたように微笑む聖が、痛々しい。
飢えている。
この子は、愛に飢えている
部屋着は袖と裾がやや短かったが、着られないことはない。
駿佑は礼を言うと、聖に連れられ寝室へ向かった。
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